阿蘇くじゅう国立公園
利尻礼文サロベツ国立公園
小笠原国立公園
三陸復興国立公園
中部山岳国立公園
「国立公園ステップアッププログラム2020」
趣旨
環境省では明日の日本を支える観光ビジョンに基づき
国立公園満喫プロジェクトを推進しています。
阿寒国立公園、十和田国立公園、日光国立公園、伊勢志摩国立公園、大山隠岐国立公園、阿蘇くじゅう国立公園、霧島錦江湾国立公園、慶良間諸島国立公園の8か所の国立公園で「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定し、2020年を目標にインバウンド対応の取組を計画的・集中的に実施し、日本の国立公園を世界の旅行者が長期滞在したいと憧れる旅行目的地にします。
背景
政府全体で、2020年の訪日外国人旅行者数を4,000万人とする
「明日の日本を支える観光ビジョン」の施策に取り組んでいます。
この観光ビジョンの10の施策のひとつとして、国立公園の「ナショナルパーク」としてのブランド化を目指し、まずは8か所の国立公園で、「国立公園ステップアッププログラム2020」を策定し、訪日外国人を惹きつける取組を計画的、集中的に実施します。
特徴
日本の国立公園は、優れた自然のみならず、その自然に育まれた伝統文化や食などの地元特有の人の暮らしに触れられるのが特徴です。
課題
インバウンドに対して、国立公園のポテンシャルが十分に引き出されていない
1.外国人が満喫できるメニュー、快適な利用環境の未整備
2.外国人をも魅了する公園利用拠点の不備
3.外国人に日本の国立公園の魅力が伝わっていない
方向性
1.「最大の魅力は自然そのもの」をコンセプトに、非日常な体験を世界の人々に提供
2.最高の自然環境をツーリズムに開放し、高品質・高付加価値のインバウンド市場を創造
国立公園満喫プロジェクトの取り組み
平成28年9月8つの公園ごとに地域協議会を設置
平成28年12月各地域協議会において「ステップアッププログラム2020」を策定。
平成29年1月以降8公園のビューポイント(重点取組地域)において、インバウンド増加に向けた本格的取り組みを実施。
全国の国立公園に展開!
2020年までに訪日外国人の国立公園利用者数を1000万人に!
※2015年の訪日外国人の国立公園利用者は430万人
選定された国立公園
①阿寒国立公園 (あかんこくりつこうえん)
日本最大のカルデラ地形、火山・森・湖が織りなす広大な景観。雌阿寒岳は、阿寒湖の南西に位置。
②十和田八幡平国立公園 (とわだはちまんたいこくりつこうえん )
みちのくの脊梁~原生林が彩る静謐の湖水、息づく火山と奥山の湯治場
③日光国立公園 (にっこうこくりつこうえん )
最奥日光。山岳・湖沼・滝・湿原が織りなす多彩な自然美と荘厳な文化遺産
④伊勢志摩国立公園 (いせしまこくりつこうえん)
登茂山夕景。悠久の歴史を刻む伊勢神宮、人々の営みと自然が織りなす里山里海。
⑤大山隠岐国立公園( だいせんおきこくりつこうえん)
大山南壁。神話がつなぐ山と島-神在ります山と連なる火山、太古の記憶が息づく島-
⑥阿蘇くじゅう国立公園 (あそくじゅうこくりつこうえん )
ユウスゲ咲く草原と往生岳。草原のかほり、火山の呼吸。風が遊ぶ感動の大地
⑦霧島錦江湾国立公園 (きりしまきんこうわんこくりつこうえん )
ミヤマキリシマ。霧島山塊、錦江湾、桜島火山~巨大カルデラ群が育む温泉と実りの海
⑧慶良間諸島国立公園 (けらましょとうこくりつこうえん )
北浜ビーチ。美ら海慶良間-海と島がつくるケラマブルーの世界-
大山隠岐国立公園満喫プロジェクト「ステップアッププログラム2020」の策定について
環境省では、昨年3月30日に政府がとりまとめた「明日の日本を支える観光ビジョン」に基づき、日本の国立公園を世界最高水準の「ナショナルパーク」としてブランド化を図ることを目標に、「国立公園満喫プロジェクト」を実施することにしており、先行的・集中的に取り組む全国8カ所の国立公園の1つとして大山隠岐国立公園を選定しました。
このため、大山隠岐国立公園では、昨年9月に地元関係者や関係行政機関からなる「大山隠岐国立公園満喫プロジェクト地域協議会」を設置し、満喫プロジェクトの推進に向けた取組方針等について関係者間で検討を進めてまいりましたが、昨年12月20日に開催された第3回地域協議会において、同プロジェクトの取組方針等をまとめた「ステップアッププログラム2020」を策定しましたのでお知らせいたします。
大山隠岐国立公園
ステップアッププログラム 2020
大山
大山北壁
はじめに
平成 28(2016)年 3 月、政府により、成長戦略と地方創生の大きな柱として、観光を 我が国の基幹産業へと成長させるべく「明日の日本を支える観光ビジョン」がとりまとめら れ、訪日外国人旅行者数を平成 32(2020)年までに 4,000 万人とすることが新たな目標 として掲げられた。 この目標を達成し、裾野の広い産業である観光を通じて活気ある地域社会の実現を目指す ためには、これまで十分に活用されていないものを含め、我が国の自然・歴史・文化・食等 の豊富な観光資源を今まで以上に活用することが必要となってくる。 その点、我が国の国立公園は、手つかずの自然のみならず、人々の営みとともに育まれて きた身近な自然や人文景観、地域に根ざした食文化等の魅力ある観光資源を豊富に有してい るものの、利用者ニーズに十分応える情報発信や質の高いサービスの提供が不足してきたこ となどから、これまで十分にそのポテンシャルが発揮されてこなかった。 そこで環境省では、上記のビジョンを踏まえ、日本の国立公園を世界水準の「ナショナル パーク」としてのブランド化を図ることを目標に、「国立公園満喫プロジェクト」として、 平成 32(2020)年までに訪日外国人を惹きつける取組を計画的、集中的に実施し、訪日外 国人の国立公園利用者数を現在の年間 430 万人から平成 32(2020)年には 2 倍以上の 1,000 万人に増やすことを目指すこととした。また、この目標の達成に向け、先行的、集中 的に取組を実施する国立公園として8つの国立公園を選定した。 この8つの国立公園の1つに大山隠岐国立公園が選定されたことを受け、2016 年9月、官民が力を合わせて同プロジェクトに取り組むため、地元関係者や関係行政機関から成る「大山隠岐国立公園満喫プロジェクト地域協議会」が設立された。 本ステップアッププログラムは、大山隠岐国立公園における多様な関係主体による具体的な取組方針について、平成 28(2016)年度から平成 32(2020)年度までの 5 年間を計画期間とした“ロードマップ”として位置づけ、同協議会において策定したものである。
平成 28(2016)年 12 月策定大山隠岐国立公園満喫プロジェクト地域協議会
大山隠岐国立公園満喫プロジェクトの位置付け
「大山隠岐国立公園」を、インバウンドに対応する
多彩な魅力コンテンツの一つとして磨き上げを行う
鳥取県、島根県及び岡山県には大山隠岐国立公園ばかりでなく、自然・文化・食・神話・温泉・歴史的建造物など豊富な観光資源が存在し、それを目当てとして国内外から多くの観光客が訪れている。 本満喫プロジェクトは、このような多様な観光資源の1つとして、大山隠岐国立公園を磨き上げ、さらなる誘客に貢献することを目指そうとするものである。 外国人旅行者の誘客に当たっては、大山隠岐国立公園が単独で取り組むのではなく、それぞれの観光資源に関係する幅広い関係主体と有機的に連携し、地域全体で効果的に取り組むことを想定している。
1. 現状分析
1.1 大山隠岐国立公園の特徴
(1) 大山隠岐国立公園の概要
大山隠岐国立公園は、鳥取県、島根県及び岡山県の3県にまたがる面積(陸域)35,353ha
の国立公園で、中国地方最高峰である大山とその東南に続く蒜山、船上山、毛無山周辺、三
徳山を含めた大山蒜山三徳山地域、隠岐地域、島根半島地域(東部・西部)及び三瓶山地域
の 5 つの地域から成り、平成 28 年2月に当初指定から 80 年を迎えた。
変化に富んだ自然環境や景観、文化を有しており、山地部では、豪快な火山地形、豊かな
森林、広大な草原などの多様な要素で構成され、個性豊かな山岳景観と、それぞれの環境に
適応した多様な動植物を見ることができる。海岸・島しょ部では、火山活動・地殻変動・気
候変動・沖積作用・浸食作用などの複雑な要因が組み合わさって形成された多彩な海岸景観
と、海流などの影響を受けた独特の生態系が大きな特徴である。また、古くから自然と人々
の生活・生業との関わりが深い地域でもある。
大山隠岐国立公園の利用者数(環境省調べ)は、これまで年間 900 万人前後で推移してい
たが、平成 25 年には出雲大社の遷宮(本殿遷座祭)の影響もあり約 1,500 万人に急増した。
多様な自然環境を有するため、登山、自然探勝、社寺参詣、キャンプ、スキー、海岸景観の
鑑賞、海水浴、エコツアーなど四季を通じて多彩な利用が行われている。
三徳山の国宝「投入堂」
(2) 大山蒜山三徳山地域
大山蒜山三徳山地域は、中国地方最高峰の大山と、その周辺の草原景観が広がる蒜山、船
上山、毛無山一帯、照葉樹林から落葉広葉樹林まで連続した自然植生が残る三徳山から成り、豊かな生態系と自然景観を有する地域である。また、修験道の聖地である大山、船上山、三徳山は、伯耆三嶺(ほうきさんれい)と称され、古くから山岳信仰が盛んであり、いずれも国史跡に指定されるとともに、三徳山と大山はそれぞれ日本遺産にも認定されている。また、三徳山の国宝「投入堂」をはじめとする歴史的な建造物や大山寺・阿弥陀如来像など、両地区には多数の重要文化財が現存する。さらに大山寺は平成 30 年に開山 1,300 年を迎えるなど、多様な自然環境に歴史・文化を包含した地域でもある。
大山、船上山、毛無山、蒜山三座など登山に人気の山々をはじめ、大山寺、大神山神社、
阿弥陀堂、三徳山三佛寺などの社寺、桝水高原、蒜山高原のキャンプ場やスキー場など、四
季を通じて幅広い人々が利用している。特に大山(剣ヶ峰)は標高 1,729m の独立峰で、山
頂からは眼下に日本海、遠くは隠岐島、蒜山三座や中国山地の山々など 360 度の眺望が開け、
国内外からの登山利用が多い。
また、大山には西日本最大規模のブナ林が広がり、国指定特別天然記念物のダイセンキャ
ラボクや高山植物が生育するほか、森林性の鳥類が多く生息しており、蒜山や毛無山周辺に
はフサヒゲルリカミキリやウスイロヒョウモンモドキ等の希少な草原性の昆虫が見られる。
一方、大山山頂では多くの登山者に踏み荒らされて裸地化が進行したため、昭和 60 年に
地元による「一木一石運動」が始まり、現在は山頂の植生が回復しつつあるなど、オーバー
ユースに対する先進的な取組も行われている。
西の島摩天崖から国賀浜方面
(3) 隠岐地域
隠岐地域は、島根半島の沖合約45~80kmに浮かぶ180余りの島々から成る一大群島で、
大きく島前と島後に分かれる。島前は、西ノ島、知夫里島、中ノ島に抱かれた穏やかな内海
景観と、海蝕によって生み出された断崖である摩天崖(国賀海岸)や赤壁、明屋海岸、島後
は、浄土ヶ浦の多島海景観、島後最北端の断崖である白島海岸、よろい岩やロウソク島など
に代表されるように、複雑で変化に富んだ景観が見られる。隠岐地域は、大陸の一部だった
時代、日本海形成の時代、火山島の時代、離島と半島を繰り返した時代を経て形成されたと
考えられており、隠岐の地形や地質は、日本列島の成り立ちを知る手がかりとして、学術的
にも注目されている。これらの地形や地質は、世界的に高く評価され、平成 25 年 9 月に世
界ジオパーク(現「ユネスコ世界ジオパーク」)として認定され、隠岐ユネスコ世界ジオパ
ーク推進協議会が中心となり、ジオパークを活用した地域振興に取り組んでいる。
隠岐地域は、その成立過程と対馬暖流の影響などから、南方系や北方系の植物が共存するなど特有の生態系が形成され、オキシャクナゲ、オキタンポポ、オキサンショウウオ、オキ
ノウサギなどの固有の生物も数多く存在している。また、流人の島として、後鳥羽上皇、後
醍醐天皇に関する遺跡も多く存在し、地元住民により祭や神事などの伝統文化も継承されて
いる。
夏場を中心に、海水浴や自然の探勝、歴史文化の鑑賞を目的とした観光客で賑わっており、
個人客が増加傾向にある。
島根半島東部地域加賀の潜戸
(4) 島根半島東部地域
島根半島は、かつて断層活動で本土と切り離され、その後本土側の河川の沖積作用によっ
て出雲平野・松江平野・弓ヶ浜半島が形成されて再び本土と繋がったと考えられている。島
根半島東部地域は、半島や入り江、断崖絶壁が連続する変化に富んだ地形で、国の文化財の
「加賀の潜戸(くけど)」・「多古の七ツ穴」、「地蔵崎」など美しい海食景観を有した観
光名所が点在し、観光遊覧船が運航している。
また、美保神社には国譲り神話に由来する青柴垣神事・諸手船神事をはじめとした特殊神
事が継承されている。東端に近い美保関の「関の五本松」を唄った「正調関乃五本松節」は、安来節と共に我が国の代表的な民謡として知られている。
近隣には、平成 27 年に国宝指定された松江城、ラムサール条約湿地の宍道湖・中海など、
歴史・文化・自然に富んだ多くの観光名所が存在している。
出雲大社
(5) 島根半島西部地域
島根半島西部地域は、東洋一の高さを誇る出雲日御碕灯台や出雲国風土記にも記される「日
御碕神社」、奇岩や絶壁が続く日御碕海岸や国の天然記念物であるウミネコの繁殖地「経島」などの観光名所が点在する。また、江戸時代に北前船が寄港した鵜鷺(うさぎ)地区には、石見銀山より古い時代から採掘されていた銀山がある等鉱業で賑わった歴史があり、美しい自然と赤瓦の古い街並みが今でも残っている。
地域内には、出雲大社が鎮座しており、60 年ぶりの大遷宮で賑わい、今も多くの観光客が
訪れている。年間を通して様々な神事が執り行われ、特に神迎祭(かみむかえさい)は、国
譲り・国引きの神話で知られる「稲佐(いなさ)の浜」に全国の八百万の神々をお迎えする
神事で、海外からも多くの観光客が訪れている。
地域内には、出雲大社が鎮座しており、60 年ぶりの大遷宮で賑わい、今も多くの観光客が
訪れている。年間を通して様々な神事が執り行われ、特に神迎祭(かみむかえさい)は、国
譲り・国引きの神話で知られる「稲佐(いなさ)の浜」に全国の八百万の神々をお迎えする
神事で、海外からも多くの観光客が訪れている。
海岸景観の鑑賞、社寺参詣だけなく、近年ではダイビングやシーカヤック等のマリンスポ
ーツの利用者も増加している。
三瓶山と浮布池
(6) 三瓶山地域
三瓶山地域は、大山・蒜山地域と同様に、主に火山活動によって形成された地域で、三瓶
山塊とその山麓部に広がる草原及び湯抱温泉地区から成る。三瓶山の中央部には溶岩円頂丘
群の男三瓶、女三瓶、子三瓶、孫三瓶等が環状に連なり、その中心には約 3,600 年前の噴火
口である凹地「室(むろ)の内(うち)」がある。男三瓶山頂(1,126m)一帯はススキな
どの風衝草原が広がり、男三瓶山北側斜面及び室の内には国の天然記念物に指定されている
ブナの自然林がみられる。北の原、西の原、東の原と呼ばれる山麓に広がる牧歌的な草原景
観が特徴的で、草原と放牧に依存する生態系が成立している。西の原では、蒜山と同様に「火入れ」による伝統的管理が継承されており、草原環境の維持に努めている。
北の原にある「島根県立三瓶自然館サヒメル」では、大型望遠鏡などの天文施設や直径2
0mの大型プラネタリウムなどを活用して、来訪者に分かりやすく天体や大自然の魅力を伝
えている。また、「国立三瓶青少年交流の家」では、主に青少年を対象に自然体験活動や野
外炊飯など様々な活動プログラムの提供や研修支援を行っている。
さらに、約 4,000 年前の三瓶山の噴火により埋没した巨木群を展示する三瓶小豆原埋没
林公園(国指定天然記念物)も近隣にあり、古代三瓶の森を体験することができる。
本地域は小規模でありながらも複数の活動拠点と多様な自然環境を有しており、登山、ハ
イキング、キャンプ、ピクニック、クロスカントリー、スキー、自然学習、宿泊研修、温泉
保養など、四季を通じた幅広い利用が行われている。
1.2 大山隠岐国立公園に訪れる外国人利用者
大山隠岐国立公園は、隣接地に米子空港・出雲空港・隠岐空港の3空港があり、さらに近
接した鳥取空港、石見空港、岡山空港を含めると、当該空港まで東京(羽田空港)から 1 時
間 15~35 分1日 28 便、大阪(伊丹空港)から 50 分~1時間1日6便が就航しており、
日本の国際的な窓口である東京・大阪から比較的短時間で到着が可能な地域である。
また、関西地区からはJRが外国人向け周遊パスを設定しており、JR大阪駅から約 2 時
間 30 分~3 時間、岡山駅から 1 時間 45 分~2 時間でJR米子駅に移動でき、さらに、多
くの外国人旅行者が訪れる広島から米子市に向け約 3 時間で、中国自動車道や浜田自動車道、松江自動車道を使った高速バス網が充実している。
海外からの直接的なアクセスとしては、米子空港へ韓国から週 3 回、香港から週2回の国
際定期便、境港へ週 1 回の国際定期フェリーが就航している。このほか、境港に、平成 27
年は約 20 隻のクルーズ船が寄港し、約 1 万 4,000 人の外国人が訪れている。
国籍 入国者数(人) 境港 米子空港 出雲空港 中国 6 46 0 韓国 12,772 14,387 0 台湾 5 5 84 香港 3 2,447 0 ヨーロッパ 713 142 0 米国 286 124 0 オーストラリア 166 39 0 その他 58 448 0 合計 14,009 17,638 84 出典:出入国管理局 出入国管理統計
環境省が全国の国立公園における訪日外国人利用者数の動向を推定するため算出した「国 立公園別訪日外国人国籍別実利用者数推計値」によると、平成 27 年の大山隠岐国立公園に おける外国人利用者数は、6,000 人(標準誤差率は 26.7%)である。ただし、この推計値 は、観光庁の訪日外国人消費動向調査データから、国立公園内の観光地点を訪れた利用者数 の割合を算定し、日本政府観光局(JNTO)の「訪日外客数」データを用いて推計されてお り、同調査では大山隠岐国立公園内の観光地点として大山、隠岐、出雲大社の3つしか設定されていないこと、山陰地方に調査場所が設定されていないこと等大山隠岐国立公園の外国 人利用者数を推定するには課題が多い。例えば、島根県では同県に訪れる外国人の多くが出 雲大社に立ち寄ると考えられているが、同県の外国人延べ宿泊者数は約3万 5,000 人と推計 値の 6,000 人から5倍以上の開きがあること、さらに同県では宿泊しない境港のクルーズ船 利用客にも出雲大社に訪れている方がいることを考えると、同推計値と実際の利用者数には 相当の乖離があると考えられる。 しかし、大山隠岐国立公園は公園区域が分散し、それぞれに多方向からのアクセスが可能 であること、さらに、近年は個人旅行者が増加傾向にあり、関西空港や広島空港からレンタ カーで訪れる例もあることから、実際に国立公園内を利用する人数を把握することは極めて 困難であり、その調査方法については、今後も引き続き検討すべき課題である。 このため、大山隠岐国立公園の外国人利用者数動向を把握するに当たって、対象となる3 県で同一手法によって行われている観光庁の宿泊旅行統計調査を参照することとしたい。 同調査によると、鳥取県、島根県及び岡山県の平成 27 年外国人延べ宿泊者数は約 32 万人 で、全国比では 0.48%である。
国籍別構成比は、韓国(22.2%)、台湾(21.0%)、中国(14.3%)、香港(10.9%) とアジア地域が上位を占め、次いでアメリカ合衆国(5.5%)、フランス(3.7%)と続く。 前年比でみると、韓国+98.0%、台湾+56.9%、中国+118.7%、香港+89.4%、アメリカ +16.2%と増加している。 隠岐地域については、フェリーや高速船で訪れる外国人利用者が乗船名簿で把握されてお り、これによると、平成 27 年度は 735 人で、国籍別構成比はヨーロッパだけで半数、米豪 を加えると 7 割を超え、その他の地域と傾向が異なっている。
(参考)観光庁宿泊旅行統計調査の手法
統計法第 27 条に規定する事業所母集団データベース(総務省)を基に、標本理論に基づき抽出されたホテル、旅館、簡易宿所、会社・団体の宿泊所などを対象に調査。
調査対象施設については、従業者数に応じて以下のとおりとしている。
● 従業者数 10 人以上の事業所 : 全数調査
● 従業者数 5 人~9 人の事業所 : 1/3 を無作為に抽出してサンプル調査
● 従業者数 0 人~4 人の事業所 : 1/9 を無作為に抽出してサンプル調査
なお、国籍別の宿泊者数は、従業員数 10 人以上の事業所のみで調査されている。
2. コンセプトと取組の方向性
2.1 コンセプト
大山隠岐国立公園は、大山蒜山三徳山、隠岐、島根半島東部、島根半島西部及び三瓶山の
地域から構成され、日本を代表する火山景観から、その裾野に広がる高原、日本海の波風に
よって形成された多彩な海岸景観、出雲大社や大山寺等の文化的景観まで、変化に富んだ景
観を有している。
そして、これらの多様な景観やそれらを構成する自然資源から大地の成り立ちを知ること
ができるのが、本国立公園の最大の特徴である。
古くは、約 2600 万年前に遡り、この頃までユーラシア大陸の一部であった当該地域を含
む日本列島は、地殻変動によって少しずつユーラシア大陸から分離し、やがて約 1,800 万年
前に日本海が形成された。その頃、海底深くにあった隠岐は、約 600 万年前から続いた火山活動により隆起し、現在の隠岐の原型となり、180 万年前から 50 万年前にかけては大山地域においてはじめの火山活動が起こり、船上山などの古期大山と呼ばれる山々と大山一帯の緩やかな裾野が形成された。一方、70 万年前頃から、氷期と間氷期のサイクルのなかで島根半島と隠岐は繰り返し陸続きになり、約 1 万年前に現在のような離島と半島に分離する。約10 万年前から約 4000 年前にかけては三瓶山地域において計7回の火山活動が起こり、現在の山体の大部分が形成され、約 2 万年前には大山地域において2回目の火山活動が起こり、古期大山の山頂を突き破って、日本最大の溶岩ドームと言われる溶岩円頂丘が形成された。
このような、日本列島の形成の歴史と平行して形成された当該地域の地形は、その後季節
風や波浪、凍結による浸食等を繰り返し、山、海岸、島のそれぞれで断崖・絶壁などが連な
るダイナミックな景観を形成する一方、三瓶山のように均整がとれた山容や、大山や三瓶山
の緩やかな裾野に広がる草原や森林など穏やかで身近に感じる景観をもたらし、狭いエリア
にバリエーション豊かな自然景観が成立するに至った。
さらに、当該地域には、日本最古の歴史書である「古事記」の全3巻のうち、神々の物語
を描いた上巻1/3を占める舞台となった出雲地域や、古来「大いなる神の在ます山」とし
て信仰を集めてきた大山が存在し、出雲大社や美保神社、日御碕神社、大神山神社など歴史
的な建造物が多数残っている。また、古くから伝えられる神事や伝説が現代まで数多く残さ
れており、人と自然の営みの歴史を垣間見ることができる。
これらの特徴を踏まえ、2020 年を目標に、大山隠岐国立公園を世界水準の「ナショナル パーク」にステップアップし、訪日外国人利用者を増加させるために、コンセプトを以下の とおり設定する。
日本の大地の成り立ちが刻まれ、神話・信仰が息づく山・島・海
~山から海まで多彩な自然の恵みを楽しむ~
赤松池
2.2 目指すべき姿
コンセプトにある、大山隠岐国立公園にまたがる魅力を最大限に引き出すために、『目指 すべき姿』を以下のように設定する。
◆本来の魅力である自然や景観が守られ活かされる国立公園
大山隠岐国立公園は先進的なオーバーユース対策の取組が評価されており、本プロジ
ェクトの実施に際しても、本来の魅力である自然や景観を損なわないことを第一に、今
ある自然や景観の魅力を最大限に引き出すことを目指します。
◆安全安心が確保され、ルールやマナーも徹底した国立公園
コンセプトにある魅力を満喫する大前提として、外国人利用を考慮したソフト、ハー ド両面からの安全安心対策を行うとともに、それぞれの利用の場面で必要となるルール やマナーの周知徹底を目指します。
◆快適な滞在環境と多彩な楽しみ方を提供する国立公園
上質で快適な宿泊滞在を可能とする環境整備を進めるとともに、自然、文化、食、神
話・信仰、温泉、歴史的建造物など、本国立公園の多彩な観光資源を活かしながら、多
様なニーズに対応できるアクティビティや、わかりやすい解説によるガイドプログラム
を開発して提供していくことを目指します。
◆アクセシビリティの高い国立公園
交通拠点や観光拠点における情報提供の充実、ビューポイントまでのアクセスルート
上における誘導、各拠点間の移動をスムースにするための交通手段の導入などを目指し
ます。
◆利用情報と快適なネットアクセスが充実した国立公園
多彩な魅力コンテンツを磨き上げ、その魅力や利用情報の発信を強化するとともに、
Wi-Fi 整備などによる情報基盤の充実を目指します。
◆多様な主体と連携を図る国立公園
当該地域内をはじめ、域外の関東、関西、広島や瀬戸内海、足摺宇和海国立公園など からの誘客、プロモーション及び利用連携などを念頭に、観光を所管する関係行政機関 やDMO等との連携を目指します。
2.3 課題と取組の方向性
外国人旅行者が日本の観光に求めるニーズは多様であるが、コンセプトにあるような多彩
な魅力資源は、本国立公園において、いずれも高いポテンシャルを有している。
しかし、ハード面、ソフト面ともに、訪日外国人利用者の受け入れ環境が十分に整備され
ているとは言えず、本国立公園がもつ魅力的なポテンシャルが十分に活かされていないのが
現状である。
このため、訪日外国人利用者がストレスなく利用でき、魅力的で、質の高い自然体験を提
供する環境をいかに整備していくかが課題である。
今後、本国立公園の『目指すべき姿』を実現化し、世界水準の「ナショナルパーク」とし
て、訪日外国人利用の増進を図るための課題と取組の方向性は以下の項目のとおりであり、
それぞれの状況に応じた取組を進めることとする。
「目指すべき姿」
本来の魅力である自然 や景観が守られ活かさ れる国立公園
安全安心が確保され、 ルールやマナーも徹底 した国立公園
快適な滞在環境と多彩 な楽しみ方を提供する 国立公園
アクセシビリティの高 い国立公園
利用情報と快適なネッ トアクセスが充実した 国立公園
多様な主体と連携を図 る国立公園
「課 題」
・老朽化施設、広告物、電線や支障木に より景観が阻害されている。
・自然環境や景観保全のための費用が十 分に確保されていない。
・外国人利用者に対応した施設のユニバ ーサルデザイン化や利用ルール等の 周知を図る取組が十分に行われてい ない。
・多様なニーズに対応した公共施設サー ビスが提供されていない。
・FIT 層から富裕層まで幅広いニーズに 対応した宿泊施設が十分ではない。
・長期滞在につながるツアー・プログラ ムやガイドが十分ではない。
・利用施設の十分な運営体制が確保され ていない。
・利用拠点までのアクセス情報が十分に 提供されていない。
・利用拠点までのアクセスルートにおけ る誘導が不足している。
・交通拠点、利用拠点間をつなぐアクセ ス環境が十分ではない。
・本国立公園の多彩な魅力や利用情報等 を十分に提供できていない。
・利用拠点等における情報へのアクセス 環境が十分ではない。
・関係する多様な主体が連携したプロモ ーション体制が十分ではない。
「取組の方向性」
①アクセスルート の環境改善
②多様なサービス 提供のための民 間活用
③まちなみ等の 景観改善
④インバウンド対 応のための施設 整備等
⑤国立公園への誘 客・プロモーショ ン
2.4 ターゲットとする利用者層
ターゲットとする利用者層については、鳥取県、島根県及び岡山県における観光に関する
基本計画の記載事項に準じ、以下のとおりとする。
◇米子空港に直行便が就航している韓国及び香港、同地域の国籍別構成比の高い台湾及
び中国、近年訪日観光客数が伸びているタイをはじめとする東南アジア、歴史的建築
物への関心が高く、滞在日数の長い欧米諸国を対象とする。
◇大山隠岐国立公園では、多様で美しい自然や景観とこれらの成り立ちと密接に関わる
伝統文化、歴史等を有しており、特に日本の最も古い歴史である「神話」が多く残っ
ている。こうした資源を活かすため、日本の主要観光地である東京や京都等を既に訪
れたことがあり、更に深く日本を知ろうとする旅慣れたリピーター層を特に対象とす
る。
3. 目標
環境省では、全国の国立公園における訪日外国人利用者数を平成 27(2015)年の年間 430 万人から平成 32(2020)年には約 2.3 倍の 1,000 万人に増やすことを目指すこと としている。また、鳥取県、島根県及び岡山県における観光に関する基本計画では、外国人 宿泊数延べ数の数値目標が掲げられており、この値を毎年の増加数が一定であると仮定して 平成 27(2015)年から平成 32(2020)年の期間に換算すると、約 1.5~2.5 倍の増加 率となる。
大山隠岐国立公園が先行的、集中的に取組を実施する8つの国立公園の1つとして選ばれ
ていることを鑑みると、これらと同等以上の目標値を設定することが望ましいと考えられる。
よって、大山隠岐国立公園における平成 32(2020)年の訪日外国人利用者数を平成 27
(2015)年の2.5倍にすることを目標とする。
ただし、既に「1.2 大山隠岐国立公園に訪れる外国人利用者」で述べたとおり、より正確 な国立公園利用者数を把握する手法の開発は、今後の課題となっており、外国人利用者数の 目標について、その達成度を評価する手法を早急に検討する必要がある。
4. プロジェクトの実施
取組方針に基づく事業については、大山隠岐国立公園全体で均一に取り組んでいくのでは なく、特に重点的に取り組むべき地域を「ビューポイント(重点取組地域)」として設定し、集中的、率先的に実施する。「ビューポイント」において、集中的に事業等を行うことで、大山隠岐国立公園全体の魅力を効率的に向上させるとともに、公園全体の取組を牽引していくことを目指す。 また、外国人旅行者が利用すると想定される交通拠点から公園内各地域の利用拠点までの アクセスルートを選定し、重点的にアクセス環境の向上を図っていくものとする。 大山隠岐国立公園では、以下のとおり5つの地域に分けて、ビューポイントとアクセスル ートを設定する。 なお、ビューポイントとアクセスルートにおける各地域の取組は、地域ごとに記載する。
ビューポイントとアクセスルートの概要
地域 ビューポイント アクセスルート
(起点となる交通拠点)
大山蒜山三徳山地域
①大山寺 ②大山山頂 ③桝水高原 ④船上山 ⑤大山滝 ⑥奥大山・鏡ヶ成 ⑦蒜山
米子空港 境港 JR各駅 山陰自動車道(琴浦船上山IC、琴浦東IC、 米子東 IC) 米子自動車道(米子 IC、溝口 IC、蒜山 IC、大山高原スマート IC)
⑧三徳山
JR 倉吉駅 山陰自動車道(はわい IC)、国道 313 号、北条倉吉道路(倉吉 IC)
隠岐地域
⑨浄土ヶ浦 ⑩国賀海岸 ⑪赤壁 ⑫明屋海岸
出雲空港、隠岐空港、米子空港 JR松江駅、JR 米子駅、JR 境港駅 七類港、境港、菱浦港、別府港、来居港、 西郷港
島根半島東部地域
⑬五本松公園・地蔵崎園地 ⑭桂島海岸・加賀の潜戸・ 多古鼻
出雲空港、米子空港 JR 松江駅、JR 境港駅 境港 山陰自動車道(松江市内 IC、米子東 IC)
島根半島西部地域 ⑮大社・日御碕・鷺浦
出雲空港、米子空港 JR 出雲市駅、JR 松江駅 境港 一畑電車出雲大社駅 山陰自動車道(出雲 IC)
三瓶山地域 ⑯三瓶山 出雲空港 JR 大田市駅 国道 9 号(朝山交差点、長久交差点) 国道 54 号(川本波多交差点) 世界遺産「石見銀山」 松江自動車道(吉田掛合 IC)
白島海岸
5. 国立公園への誘客・プロモーション
(1) 「日本の国立公園」全体で取り組む事項
日本の国立公園では、従来、保護と利用の増進を図ることを目的に管理されてきたが、
これまで外国人旅行者の誘致に特化した取組は行われてこなかった。このため、諸外国に
おける「日本の国立公園」の認知度は低いと考えられる。ついては、環境省が主となり、
以下の取組を行う。
◇平成 28(2016)年度までに、日本の国立公園を魅力的なコンテンツとして全世界
に発信するためのブランディング戦略(仮称)を策定するとともに、そのブランドイ
メージを視覚化するための国立公園マーク(仮称)を作成する。(環境省)
◇平成 29(2017)年度までに、以上のブランディング戦略(仮称)を踏まえ、「日
本の国立公園」全体のプロモーション計画(仮称)を策定するとともに、同計画に基
づき、大山隠岐国立公園のプロモーションを行う。(環境省)
◇環境省と企業又は団体が協力し、日本の国立公園の魅力を世界に向けて発信し、国内
外の利用者の拡大を目指す「国立公園オフィシャルパートナーシッププログラム」の
推進により、締結企業と連携した情報発信を行う。(環境省)
◇引き続き、フェイスブックやツイッター、インスタグラムなど SNS 等を活用した戦
略的な情報発信を行う。(環境省)
(2) 地域全体で取り組む事項
一方、大山隠岐国立公園が位置する鳥取県、島根県及び岡山県には、国立公園の他にも
自然・文化・食・温泉・神話・歴史的建造物などの豊富な観光資源が存在する。実際に外
国人旅行者が当該地域に訪れる際は、5地域に分散した国立公園のみを利用するのではな
く、松江市や米子市など交通拠点となる都市部や、松江城や足立美術館、石見銀山など周
辺の観光資源を含めた一体的な利用がなされていると考えられる。
こうした地域全体への外国人旅行者の誘致については、各県観光部局や山陰インバウン
ド機構等において、既に様々な取組が多数行われている。
このため、大山隠岐国立公園のプロモーションの実施に当たっては、大山隠岐国立公園
だけを打ち出して環境省や自然担当部局が独自で取り組むのではなく、当該地域全体を対
象として行われているプロモーションの中の1つの観光資源として位置づけ、環境省や自
然担当部局から各県観光部局等に対し観光資源に関する情報や素材の提供等を行うことに
より各県観光部局や山陰インバウンド機構、関係団体等と密に連携し、効率的・効果的に
取り組むこととする。
① 関係団体との連携や広域連携による観光誘客の推進
◇山陰地方を対象とする広域連携 DMO「山陰インバウンド機構」をはじめ、地域連携 DMO や地域 DMO、各地域における観光協会など大山隠岐国立公園に関係する観光 団体と連携して観光誘客を進める。(鳥取県、島根県、山陰インバウンド機構)
◇より効果的、効率的にプロモーションを展開するため、ターゲットとする市場の特性 に応じ、国、関西広域連合を含む近隣府県、市町村をはじめ、中国地域観光推進協議会などの民間団体、鉄道事業者や航空会社、旅行会社などの民間企業等と連携して誘 客に努める。(鳥取県、岡山県)
◇「明日の日本を支える観光ビジョン」の具体的な取組の推進を図る「観光ビジョン推 進地方ブロック戦略会議」と連携を行う。(観光庁、環境省)
② 観光資源のネットワーク化や商品化
◇テーマ性・ストーリー性をもった魅力ある観光地をネットワーク化することで、山陰 広域観光周遊ルート「縁(えん)の道~山陰~(Route Romantique San’in)」の 形成により、エリアへの誘客と滞在時間延長を進める。(鳥取県、島根県、山陰イン バウンド機構)
◇2018 年に大山開山 1,300 年を迎える好機を捉え、歴史遺産や祭り、自然、食など の優れた観光資源を活かしたニューツーリズム(サイクルツーリズムやエコツーリズ ムなど)を旅行商品化し、大山ブランドのイメージ形成につながるよう支援する。(鳥 取県)
◇昨年 2015 年に世界ジオパークがユネスコの正式事業となった好機を捉え、世界ジオ パークに認定されている隠岐地域においても、ジオサイトを含む多様な観光資源を活 かした旅行商品化に取り組む。(島根県)
◇瀬戸内海沿岸地域と連携し、高速道路を利用した周遊・滞在型観光を目的とした旅行 商品化に取り組むとともに、個人旅行者向けのレンタカー利用促進にも取り組む。(岡 山県)
③ 戦略的なプロモーション
鳥取県、島根県、岡山県や山陰インバウンド機構、関係団体等が積極的に連携し、タ ーゲットに応じた戦略的なプロモーションを実施する。
・ ウェブサイト、SNS、動画コンテンツ等 ICT を活用した情報発信
・ 観光案内所や首都圏アンテナショップ、海外 PR デスク等を活用した情報発信
・ 旅行博への出展、商談会やファムトリップの実施等による旅行商品の造成・販売の
促進
6. 効果検証
本プログラムの実施期間中は、各地域の取組について、進捗状況を整理して、明らかと
なった課題等について、地域協議会、地域部会で共有し、以降実施する取組へフィードバ
ックさせながら事業を展開していく。
また、本プログラム実施後の取組について評価を行い、本プログラムの成果について効
果検証を行う。
なお、本プログラムは、地域協議会での議論を通じ、必要に応じて見直していくものと
する。
(1) 実施状況の評価(毎年)
各地域の取組の実施状況について、毎年度、進捗状況と課題等を整理し、以降の取組へ フィードバックする。
(2) 取組の評価
以下の項目について調査を行い、本プログラムの成果について効果検証を行う。
① 利用者数(毎年)
「外国人国立公園来訪者数」と「外国人宿泊客延べ数」について、ぞれぞれ環境省及び 観光庁のデータを用いる。ただし、「国立公園を利用した外国人宿泊客延べ数」は、補足 の調査を行い、推計するものとする。
毛無山登山道
外国人利用者数
項目 指標 検証方法 回数 対象 外国人利 用者数
『外国人国立公園来訪者 数』
環境省が提供する「国立公園別訪日外国 人実利用者数推計値」の大山隠岐国立公 園の利用者数を用いる。
毎年 全体
『外国人宿泊客延べ数』
観光庁が実施する「宿泊旅行統計調査」 の鳥取県及び島根県、岡山県内の宿泊施 設に宿泊した外国人宿泊客延べ数を用い る。
毎年
『国立公園を利用した外 国人宿泊客延べ数 』
上記の指標の「外国人宿泊客延べ数」を 用いて、国立公園を利用した外国人宿泊 客延べ数を推計する。
毎年
② 量・質の達成度(初年と最終年)
「量・質の達成度」に関する調査を、初年度となる平成29(2017)年度と最終年度と
なる平成32(2020)年度に地域部会の単位で行い、本プログラムの取組について評価す
る。
取り組みの評価
項目 指標 検証方法 回数 対象
量・質の 達成度
外国人対応プログラム 数
国立公園内で実施している外国人対応 ガイドツアー等のプログラム数等につ いて、実施者の協力により調査を行う。
初年 最終年 の2回 地域部会 単位
外国人利用者満足度
地域の利用拠点で、外国人利用者へア ンケートを実施し、行動(立ち寄り場 所)や宿泊施設、飲食施設を含む国立 公園利用者の満足度、改善箇所等の課 題を把握する。
初年 最終年 の2回 地域部会 単位
※なお、ここに記載のない指標についても、引き続き検討していく。
参考資料
(1) ステップアッププログラム策定体制
大山隠岐国立公園満喫プロジェクト地域協議会
大山蒜山三徳山満喫プロジェクト地域部会
島根県満喫プロジェクト地域部会
隠岐地域部会
島根半島(東部)部会 島根半島(西部)部会
三瓶山地域部会
子会議
孫会議
問い合わせ先
環境省中国四国地方環境事務所 国立公園課
TEL086-223-1586/FAX086-224-2081
協力
環境省 〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館 TEL 03-3581-3351(代表)
鎹八咫烏 記
石川県 いしかわ観光特使
伊勢「斎宮」明和町観光大使
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