男鹿 のナマハゲ(秋田県男鹿市)
甑 島 のトシドン(鹿児島県薩摩川内市)
我が国からのユネスコ無形文化遺産代表一覧表への提案について,本日,文化審議会(世界文化遺産・無形文化遺産部会)において,別紙のとおり,2017年(平成29年)サイクルの審査案件として「来訪神:仮面・仮装の神々」をユネスコに提案することを決定いたしましたので,お知らせいたします。
今後は,無形文化遺産保護条約関係省庁連絡会議(3月上旬開催予定)において審議の上,3月末にユネスコに提案書を提出し,平成29年秋にユネスコ政府間委員会(無形文化遺産保護条約政府間委員会)において審議が行われる予定です。
来訪 らいほう 神 しん 行事の提案概要
1.名 称
来訪神:仮面・仮装の神々
2.内 容
仮面・仮装の異形の姿をした者が,「来訪神」として,年の初めや季節の変
わり目などに家々を訪れ,子供や怠け者を戒めたり,人々に幸や福をもた
らしたりする行事。
3.分 野
年中行事(儀式 rituals )
4.構 成
国指定重要無形民俗文化財である「来訪神」行事8件
・ 甑 こしき 島 じま のトシドン(鹿児島県薩摩川内市)
・男鹿 お が のナマハゲ(秋田県男鹿市)
・能登 の と のアマメハギ(石川県輪島市・能登町)
・宮古 みやこ 島 じま のパーントゥ(沖縄県宮古島市)
・遊佐 ゆ ざ の小正月行事(アマハゲ)(山形県遊佐町)
・米川 よねかわ の水かぶり(宮城県登米市)
・見 み 島 しま のカセドリ(佐賀県佐賀市)
・吉浜 よしはま のスネカ(岩手県大船渡市)
5.保護措置
伝承者養成,記録作成,用具修理・新調,普及促進 等
6.提案要旨
○「来訪神:仮面・仮装の神々」は,正月など年の節目を迎えるに当たり,
仮面や蓑(みの)笠(かさ)などを身につけて来訪神に扮(ふん)した者
が家々を訪れ,子供や怠け者を戒めたり,災厄をはらったりし,人々に幸
や福をもたらす行事である。
○来訪神行事は,伝承されている各地域において,時代を超え,世代から世代 へと受け継がれてきた年中行事であり,それぞれの地域コミュニティでは, 来訪神行事を通じて地域の結びつきや,世代を超えた人々の対話と交流が深 められている。
○「来訪神:仮面・仮装の神々」のユネスコ無形文化遺産代表一覧表への記載 は,地域の人々の絆(きずな)としての役割を果たしている無形文化遺産の 保護・伝承の事例として,国際社会における無形文化遺産の保護の取組に大 きく貢献するものである。
(参考)これまでの経緯
平成21年 9月 ユネスコ無形文化遺産保護条約第4回政府間委員会(ア
ブダビ・アラブ首長国連邦)において「甑島のトシドン」
がユネスコ無形文化遺産代表一覧表に記載される。
平成23年11月 同第6回政府間委員会(バリ・インドネシア)において
「男鹿のナマハゲ」が「情報照会」の決議を受ける。
国指定重要無形民俗文化財である来訪神行事
「 甑 こしき 島 じま のトシドン」(平成21年ユネスコ無形文化遺産代表一覧表「記載」)
所在地:鹿児島県薩摩川内市 指定年月日:昭和52年5月17日 保護団体:甑島のトシドン保存会 概 要:下甑島に伝承される来訪神の行事。大みそか(12月31日)の夜,長い鼻 に大きな口のついた面を被り,藁(わら)蓑(みの)などをまとってトシドンが子 供のいる家々を訪れ,大声で子供を脅かしたり,よい子になるよう諭したりし,最 後に年餅と呼ばれる餅を子供に与えて去っていく。
「男鹿 お が のナマハゲ」(平成23年ユネスコ無形文化遺産代表一覧表「情報照会」)
所在地:秋田県男鹿市 指定年月日:昭和53年5月22日 保護団体:男鹿のナマハゲ保存会 概 要:男鹿半島一帯に伝承される来訪神の行事。大みそか(12月31日)の夜, 鬼のような面や藁(わら)蓑(みの)などを身につけたナマハゲが家々を訪れ,怠 け者や泣く子などを戒める。家の主人から酒食のもてなしを受けた後,次の家へ向 かう。
「能登 の と のアマメハギ」
所在地:石川県輪島市・能登町 指定年月日:昭和54年2月3日 保護団体:能登のアマメハギ・面様年頭保存会 概 要:能登地方に伝承される来訪神の行事。正月や節分に,天狗(てんぐ)面や男・ 女の面などの仮面をつけたアマメハギ(輪島市・能登町)やメンサマ(輪島市)が 家々を訪れ,怠け者を戒めたり,おはらいをして回る。
「宮古 みやこ 島 じま のパーントゥ」
所在地:沖縄県宮古島市 指定年月日:平成5年12月13日 保護団体:島尻自治会,野原部落会 概 要:宮古島の島尻と野原に伝承される来訪神の行事。島尻では,旧暦9月に,面 とつる草を身につけ,全身に泥を塗ったパーントゥが集落に現れ,悪霊をはらうと いって泥をつけて回る。野原では,旧暦12月に,面をつけた子供や草を体に巻い た女性たちが集落を回って厄払いをする。
「遊佐 ゆ ざ の小正月行事」(アマハゲ)
所在地:沖縄県宮古島市 指定年月日:平成5年12月13日 保護団体:島尻自治会,野原部落会 概 要:宮古島の島尻と野原に伝承される来訪神の行事。島尻では,旧暦9月に,面 とつる草を身につけ,全身に泥を塗ったパーントゥが集落に現れ,悪霊をはらうと いって泥をつけて回る。野原では,旧暦12月に,面をつけた子供や草を体に巻い た女性たちが集落を回って厄払いをする。
「米川 よねかわ の水かぶり」
所在地:宮城県登米市 指定年月日:平成12年12月27日
保護団体:米川の水かぶり保存会
概 要:登米市の米川に伝承される,来訪神行事の要素をもつ初午の火伏の行事。顔
に墨を塗り,藁(わら)製の装束を身にまとった異装の若者や厄年の男性が家々を
まわり,火伏を祈願して水をかける。
「見 み 島 しま のカセドリ」
所在地:佐賀県佐賀市 指定年月日:平成15年2月20日
保護団体:加勢鳥保存会
概 要:佐賀市蓮池町の見島に伝承される来訪神の行事。旧暦1月14日の夜(現在
は2月の第2土曜日に固定),笠(かさ)を被り,蓑(みの)を付けたカセドリが
家々を回る。玄関口から上がり込むと体をかがめ,先端を割った青竹を床に打ちつ
けて鳴らす。
「吉浜 よしはま のスネカ」
所在地:岩手県大船渡市 指定年月日:平成16年2月6日
保護団体:吉浜スネカ保存会
概 要:大船渡市三陸町の吉浜に伝承される来訪神の行事。小正月(1月15日)の
夜に,奇怪な面やアワビの殻をつけ,俵を背負ったスネカが家々を訪れ,怠け者や
泣く子などを戒める。スネカは,家人と問答した後,餅をもらうと退散する。
【参考】今後の予定
平成28年3月無形文化遺産保護条約関係省庁連絡会議において審議
平成28年3月末ユネスコ事務局に提案書を提出
平成29年10月頃ユネスコ評価機関による事前審査の勧告
平成29年11月頃ユネスコ政府間委員会において審議
協力
文化庁 文化財部伝統文化課文化財国際協力室
〒100-8959 東京都千代田区霞が関3丁目2番2号
電話:03-5253-4111(代表) 03-6734-2870(直通)
FAX:03-6734-3820
【ユネスコ無形文化遺産登録応援・首都圏講演会の開催について】
ユネスコ無形文化遺産登録申請した「男鹿のナマハゲ」を登録へ向けて後押しするため、首都圏男鹿の会では、「男鹿のナマハゲ」の世界的文化遺産の位置付けと役割をPRすることを目的に、ユネスコ無形文化遺産登録応援・首都圏講演会を開催します。
〇開催日時 平成29年2月4日(土)午後2時開会
〇場 所 日本プレスセンターホール
東京都千代田区内幸町2-2-1(日比谷内幸町日本記者クラブ)
〇主 催 首都圏男鹿の会
〇共 催 秋田県、男鹿市
〇参 加 費 1,000円(資料代等)
〇内 容 ①講 演
講演者/関西学院大学 教授 八木 康幸 氏
演 題/「ユネスコ無形文化遺産登録へ ~秋田・男鹿のナマハゲ 世界へ!(仮題)」
※ナマハゲの戦後の歩みや男鹿のナマハゲのメディア映像や文献紹介など研究発表的
70分の講演
②講 演
講演者/男鹿市菅江真澄研究会 会長 天野 荘平 氏
演 題/「菅江真澄とナマハゲ~菅江真澄が見た200年前の生身剥と現在のナマハゲ~」
③その他
DVD上映、パネル展示など
〇問い合わせ・申込み先
首都圏男鹿の会幹事長 登藤 ℡ 090-2535-6787
E-mail namahage.todou@nifty.com
企画運営担当 武内 ℡ 090-2173-2591
E-mail satoru.takeuchi9@gmail.com
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