印(人形山型)
鬼
楼車
先頭の楼車の後ろに印(ホコ型)が見える
毎年10月23日から25日までの3日間、城下町で開催されてきました国重要無形民俗文化財で2016年12月に「ユネスコ無形文化遺産」に登録された『上野天神祭』の開催日程が今年度から変更となります。
平成29年度から上野天神祭のダンジリ行事は「10月25日までの直近の日曜日」に開催されます。
平成29年度開催日
10月20日(金)宵山
10月21日(土)足揃え・宵山
10月22日(日)神幸祭
※上野天神祭の例大祭は従来どおり25日。
お問合せ 上野天神祭地域振興実行委員会 TEL 0595-21-0527(上野商工会議所内)
上野天神祭について
400年あまりの歴史を有する「上野天神祭」
両側に立ち並ぶお祭り屋台の中を鬼・小鬼の行列がどこまでも続く
楼車
この祭りは藤堂氏が藩主の時代、神輿の渡御を主とする祭りに印や囃子屋台などの渡物が加わり、「印と鬼・楼車」で構成される練物の祭りに発展しました。
百数十体もの鬼が練り歩く鬼行列は、神輿の渡御に供奉してその露払いの役割を果たし、中でも「役行者」の面は、初代藩主藤堂高虎が自身の眼病平癒の祈祷を城下の修験道寺院に命じた際に早く平癒したことから返礼として寄進したものといわれている。
この祭りの最大の特徴は、神の依代である印にそれを囃す楼車などの華やかな演出が加わって一対となっている点にある。
「上野天神祭のダンジリ行事」は、平成14年2月に国の重要無形民俗文化財に指定されたほか、平成28年11月にはユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」に登録されました。
全国の多くの祭りと同じく豊作への感謝・疫病退散の祈願から始まった祭りは、京都の祇園祭の形態を取り入れて発展し、今日の伊賀地方の秋の風物詩となっている。
上野天神宮とは
菅原神社は『上野天神宮』と呼ばれ、通称「天神さん」の愛称で親しまれている。
菅原道真公を主神とする神社で、旧上野町6千戸の産士神として、また文学の祖神として、あるいは牛馬の守護神として崇敬されている。
菅原神社の創建は不詳ですが、古くは上野山(現在の伊賀上野城)・平楽寺の伽藍神(がらんがみ・寺院を守護する神)で農耕神祇に発祥する神々を祀る神社でしたが、天正9年(1581)に起きた「天正伊賀の乱」の後、慶長16年(1611)、藤堂高虎による城下町建設の際、この地に奉遷され城郭鎮守として祀られました。
400年余の歴史を有し、関西秋の三大祭の一つにも数えられるといわれる『上野天神祭』は、この神社に毎年10月に奉納される秋祭で、平成14年(2002)2月12日に国指定重要無形民俗文化財に指定されました。
鳥居をくぐると江戸時代中期(1700年代前期)に建てられた『楼門』がある。
境内には牛の像があり、撫でるとご利益があると言われている。
牛は天満宮において神使(祭神の使者)とされていますが、その理由については「道真の出生年は丑年である」「亡くなったのが丑の月の丑の日である」「牛が刺客から道真を守った」など多くの伝承があり、それらの伝承に因み神使とされる臥牛の像が多数置かれており、菅原神社にも牛の座像の置物を撫でて自分の病気を治す信仰習俗の『撫牛』がある。
菅原神社の拝殿は、平成22年7月の火災で焼失してしまいましたが、平成24年9月に新拝殿が再建されました。また、境内には毎年春と秋の二度に芽がたつといわれる「二度芽の欅(ケヤキ)」があり、昭和54年(1979)12月20日に市の天然記念物に指定されました。
菅原神社(上野天神宮)は、松尾芭蕉が29歳の時、江戸に発つ前に処女句集「貝おほひ」を奉納したことでも知られ、文学の神として一層崇敬を集めることとなりました。
鳥居手前には『史跡 貝おほひ奉納の社』の碑が建っており、昭和47年(1972)4月27日に市の指定史跡に指定されている。
また境内には、江戸時代前期(1600年代後期)に建てられた『鐘楼』と、同じく江戸時代中期(1700年代前期)に建てられた『楼門』があり、共に平成5年(1993)3月8日に県の指定文化財に指定されている。
楼車
上野天神祭には9基の楼車が巡行し、その順番は毎年9月9日に行われる籤取式で決まる。
上野の楼車の構造は、囃子座のある上層、胴幕を飾るための飾り台が設けられた下層から成り、江戸時代後期に京都祇園祭の山鉾の影響を受けた形態である。
楼車建築は楼車自体が刺繍幕や彫刻・彩色・飾金具などの伝統的な美術工芸で絢爛豪華に飾られることから「動く美術館」ともいわれ、最低限の建築的構造と美術的装飾を併せもつ独自の建築文化なのである。
それでは、各町の楼車の特徴を紹介しましょう。
新町
東町
中町
西町
向島町
鍛冶町
魚町
小玉町
福居町
上野天神祭見どころ
【楼車の方向転換】
上野の楼車の車輪は自動車のように前輪の角度を調節して方向を変えたり、楫(かじ)棒によって進行方向をコントロールすることができません。
そのため、曲がり角では「方向万力」という地車を使って後輪を浮かせ、前輪を支点として車体を回転させます。四輪を地面につけたまま引っ張って廻すと車輪や車軸に大きく負担がかかりますが、方向万力を使って回転させることで車輪にかかる負荷が軽減される。
【囃子の種類】
上野天神祭の囃子には、「祇園囃子」と「三味線囃子」の2種類があり、前者は鉦・太鼓・竜笛からなる京都祇園祭の祇園囃子系統(8基)、後者は鉦・太鼓・小鼓・篠笛・三味線の五楽奏(1基)で構成されている。
曲には神様への奉納や調子づけなどそれぞれ機能があり、行きの曲と帰りの曲、出発時の曲、角を曲がる時の曲、人通りの多い見せ場での曲、楼車蔵に収める時の曲など、町によって5~17曲が場面ごとに演奏し分けられている。
【鬼行列は2グループ】
一見一列に見える鬼行列は、実は「役行者の峯入り」をモチーフにした行列と「鎮西八郎為朝の鬼退治」をモチーフとする行列の2つのグループに分かれており、それぞれに「大御幣」「鬼王剣先」といった印がある。
全国的にも珍しい鬼行列で使用される面は江戸時代のものが中心で、古いものでは桃山時代のものもあり、三重県または伊賀市の指定文化財になっている。
「役行者の峯入り」(写真左)と「鎮西八郎為朝の鬼退治」(写真右)
上野天神祭こぼれ話
本祭の巡行後、9基ある楼車と印のうち6基は各町の楼車蔵に収められますが、3基は上野丸之内にあるだんじり会館に入り、春の入れ替えまで半年間展示される。
楼車と印の列が囃子を囃しながら伊賀鉄道広小路駅横の踏切を通過する時は、踏切の両サイドから竹棒で架線を持ち上げて列を通す珍しいシーンがある。
上野天神祭 主な行事
9月9日
<籤取式>
9基ある楼車の巡行順を決める式。
菅原神社で行われ、楼車を所有する町の代表者が神前で籤を引いて順序を決める。巡行順が確定すると、拝殿前の表示板に各町の表示板が掲示される。
10月19日
<遷座式>菅原神社から東御旅所へ神様を遷した神輿が渡御し、東御旅所で遷座式が行われる。
ダンジリ行事1日目
<宵 山>
各町で楼車の組み立てと飾り付けが行われ、提灯や雪洞に火が灯される。
ダンジリ行事2日目
<足揃え>
各町の楼車が自町付近を中心に巡行し、鬼行列が三之町筋を練行する。
<宵 山>
各町で楼車の提灯や雪洞に火が灯され、楼車が自町付近を中心に巡行する。
<本 祭>
東御旅所から神輿行列と供奉行列が出発する。
午前中に神輿行列が西御旅所に着御すると御昼祭が行われ、午後には再び上野天神宮へ還御される。
供奉行列は昼前に祭礼本部で籤改めを行い、楼車の巡行順を確認する。三筋町を巡行し終えたあとはそれぞれの町へ帰る。
補足
上野天神祭「名称の解説」
祭り町【まつりまち】
上野天神祭に楼車または鬼行列を出す三筋町13ケ町の名称。
三筋町【みすじまち】
碁盤目状になっている上野城下の町のうち、東西の本町筋・二之町筋・三之町筋の三筋町と、南北の東之立町通り(通称・銀座通り)・中之立町通り・西之立町通りに面する14ケ町の総称。
楼車町【だんじりまち・ろうしゃちょう】
上野天神祭に印と楼車を出す9ケ町(新町・東町・中町・西町・向島町・鍛冶町・魚町・小玉町・福居町)の総称。
鬼町【おにまち】
上野天神祭に鬼行列を出す4ケ町(相生町・紺屋町・三之西町・徳居町)の総称。
印【しるし】
本来は神霊を神社に遷却するための依代で、鬼行列の太鼓台や楼車はそれを囃し賑わすための町印として各町の出し物の先頭に立つ。
現存するものは多くが江戸時代後期から末期に造られたもので、「ホコ型」と「人形山型」の二種類があり、前者は幟や旗竿の先端に出しを飾るタイプ、後者は方形の壇の上に人形を飾るタイプである。
楼車【だんじり・ろうしゃ】
鬼行列のあと、各町の印に続いて巡行する囃子屋台。上層にある囃子座の天井は西町が布張り、その他が彩色の百花図などが描かれた格天井であり、屋根は切妻破風造と向唐破風造の二種類がある。
彫刻や彩色が控えめで、漆の黒色と金箔の金色を基調にまとめられた落ち着いた装飾意匠が特徴。このことによって、囃す対象である印や華やかな幕を引き立てている。
「上野天神祭」に来られる方のための特別情報
芭蕉翁生家
芭蕉が幼少の頃を過ごした生家
奥庭に処女句集「貝おほひ」を執筆した釣月軒が
「きてもみよ 甚べが羽織 花ごろも」
1644年(正保元年)に生まれた松尾芭蕉が、29歳まで過ごした生家。
奥庭の離れは、処女句集「貝おほひ」を執筆した釣月軒で、帰郷の際にはここで過ごしたといわれている。
名称
芭蕉翁生家
住所
三重県伊賀市上野赤坂町304
お問い合わせ先
TEL:0595-24-2711
交通アクセス
お気をつけてお越しください
鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」明和町観光大使
石川県 いしかわ観光特使
協力(順不同)
一般社団法人 伊賀上野観光協会
〒518-0873 三重県伊賀市上野丸之内122-4 だんじり会館内
TEL:0595-26-7788
上野文化美術保存会
〒518-0857 三重県伊賀市上野三之西町3205-1 TEL 0595-23-0930
上野天神祭地域振興実行委員会(上野商工会議所)
〒518-0873 三重県伊賀市上野丸之内500 TEL 0595-21-0527
伊賀市役所 産業振興部 観光戦略課
〒518-0873 三重県伊賀市上野丸之内116 TEL 0595-22-9670
文化庁 〒100-8959 東京都千代田区霞が関3丁目2番2号 電話番号(代表) 03(5253)4111
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