ZIPANG TOKIO 2020「世界文化遺産 全国に祀られた1300余の浅間神社の総本宮 富士山本宮浅間大社を巡る(前編)」

             富士山の影が雲海に映る「影富士」


御由緒

浅間大社は、富士山の噴火を鎮めた御神徳により崇敬を集め、富士山信仰の広まりと共に全国に祀られた1300余の浅間神社の総本宮と称されるようになりました。


御祭神

主祭神

木花之佐久夜毘売命(このはなのさくやひめのみこと)(別称:浅間大神(あさまのおおかみ))


                木花之佐久夜毘売命


相殿神

瓊々杵尊(ににぎのみこと)

大山祇神(おおやまづみのかみ)


「日本(ひのもと)の 大和の国の 鎮めとも います神かも 宝とも なれる山かも 駿河なる 富士の高嶺は 見れど飽かぬかも」と万葉の歌人高橋蟲麻呂が詠んだ清らかで気高く美しい富士山。この霊山を御神体として鎮まりますのは、浅間大神・木花之佐久夜毘売命にまします。

木花之佐久夜毘売命は、大山祇神の御息女にして大変美しく、天孫瓊々杵尊の皇后となられた御方です。命はご懐妊の際、貞節を疑われたことから証を立てるため、戸の無い産屋を建て、周りに火を放ち御出産になられました。そして、無事3人の皇子を生まれたという故事にちなみ、家庭円満・安産・子安・水徳の神とされ、火難消除・安産・航海・漁業・農業・機織等の守護神として全国的な崇敬を集めています。

木花という御神名から桜が御神木とされています。境内には500本もの桜樹が奉納されており、春には桜の名所として賑わいます。

また、申の日に富士山が現れた故事から神使いは猿といわれています。

                初申祭・御神幸

初申祭・御神幸

4月3日午前9時30分(浅間大社)
午前11時(山宮浅間神社)

初申祭とは、ゆかりの深い初申の日に本宮・山宮両社を参拝し、豊かな稔りを祈る祭りです。古くは大祭礼とされ、山宮へ御鉾を渡御する御神幸があるなど、盛大に行われましたが、明治初期を最後に両社の参拝のみ行われてきました。

この山宮御神幸とは、遙か1200年前の大同元年(806)、征夷大将軍坂上田村麻呂(せいいたいしょうぐん、さかのうえたむらまろ)公が、平城天皇(へいぜいてんのう)の勅を奉じ、山宮浅間神社より現在の大宮の地に壮麗な御殿を建立し、浅間大神(あさまのおおかみ)を遷し祀った故事に因む神事です。

平成18年、御鎮座1200年の奉祝として、富士宮市観光協会主催のもと、浅間大社神幸会・浅間大社青年会のメンバーが中心になり、山宮御神幸を復興しました。本年も、浅間大社神幸会・浅間大社青年会の奉仕により行います


起源

「富士本宮浅間社記」によれば、第7代孝霊天皇の御代、富士山が大噴火をしたため、周辺住民は離散し、荒れ果てた状態が長期に及んだとあります。第11代垂仁天皇はこれを憂い、その3年(前27)に浅間大神を山足の地に祀り山霊を鎮められました。これが当大社の起源です。

その後は姫神の水徳をもって噴火が静まり、平穏な日々が送れるようになったと伝えられています。この偉大な御神徳は、万人の知るところとなり、篤い崇敬を集める事となりました。また、富士山を鎮めるため浅間大神をお祀りしたのは当大社が最初であり、全国にある浅間神社の起源ともなっています。


山宮鎮座


最初に祀られた「山足の地」は、特定の地名を指すのではなく、富士山麓の適所を選んで祭祀を行った事を示すと考えられています。特定の場所に祀られるようになったのは、山宮(現在の鎮座地より北方約6キロ)にお祀りされてから後のことです。山宮は社殿が無く古木・磐境を通して富士山を直接お祀りする古代祭祀の原初形態を残す神社で、祭祀形態の変化をうかがい知ることが出来ます。

社記によれば、日本武尊(やまとたけるのみこと)が東国の夷(えびす=賊徒)を征伐するため駿河国(するがのくに)を通られた際、賊徒の野火(野原で四方から火をつけ攻められること)に遭われました。尊は、富士浅間大神を祈念して窮地を脱し、その賊徒を征伐されました。その後、尊は山宮において篤く浅間大神を祀られたと伝えられています。


大宮遷座(現在地)


大同元年(806)坂上田村麿は平城天皇の勅命を奉じ、現在の大宮の地に壮大な社殿を造営し、山宮から遷座されました。
富士山の神水の湧く地が御神徳を宣揚するのに最もふさわしかった為ではないかと考えられます。


朝廷の崇敬

富士山本宮浅間大社は、朝廷より篤い尊崇を受けてきました。
延喜の制では名神大社とされ、一宮制では駿河国一宮(するがのくにいちのみや)として勅使の奉幣・神領の寄進を受けました。神階については『文徳実録』に仁寿3年(853)従三位を加うとあるのを初見として、その後順次階位を授けられ、永治元年(1141)には正一位を授与されています。


武家の崇敬

歴代武将の事跡も多数ありますが、中でも特に篤い崇敬を寄せたのは、源頼朝・北条義時・武田信玄勝頼親子・徳川家康でした。

                  源頼朝公

                  徳川家康公


源頼朝公は、建久4年(1193)富士山麓において巻狩りを行った際、流鏑馬を奉納されました。現在、流鏑馬祭としてとして伝えられています。そのほか社殿の修復なども行いました。


武田信玄・勝頼親子は当大社を篤く崇敬し、神領の寄進、社殿の修造などを行いました。当大社には、信玄の願状をはじめ武田家奉納の品も多く残っており、崇敬の一端を知ることができます。ちなみに、境内にあるしだれ桜は信玄の寄進とされ、信玄桜と呼ばれて親しまれています。

                 信玄の願い状

    境内の信玄寄進とされるしだれ桜は「信玄桜」と呼ばれて親しまれている

 

徳川家康公は、関ヶ原の戦いに勝利した御礼として、本殿・拝殿・楼門をはじめ30余棟を造営し、境内一円を整備しました。現在、本殿・拝殿・楼門等が残っており、本殿は国指定重要文化財、拝殿・楼門は県指定文化財となっています。また、富士山8合目以上を境内地として寄進する等しました。 

富士山本宮浅間大社は、駿河の国一の宮としての格式を有する神社です。 全国1300余の浅間神社の総本宮でもあり、富士山の八合目以上を境内地として所有しています。 祭神は、木花之佐久夜毘売命で、境内には、国の重要文化財に指定されている徳川家康寄進の本殿や、富士山の伏流水が湧き出る特別天然記念物の湧玉池があり、境内の500本の桜は、桜の名所としての景観を作り出しています。


庶民の信仰

恐ろしい噴火を繰り返す富士山を、鎮め奉る浅間大神への敬慕の念によって信仰され、その頂きは浅間大神の御神域として尊ばれてきました。富士山の噴火が収まるに従い、その敬慕の念が富士登山という形に変化していきました。
平安時代、都良香(みやこのよしか)(834~879)の著した『富士山記』には、富士山頂上の様子が書かれています。

山に神あり。浅間の大神と名づく。この山高く雲表を極むること、幾丈なるをしらず、頂上に平地あり、広さ一里ばかり。その頂の中央窪く下りて、体炊甑の如く、甑の底に神池あり。池中に大石あり。石の体驚奇にして、宛ら蹲虎の如し。亦その甑底を窺へば湯の沸騰するが如く、その遠きにありて望む者は、常に煙火を見る。 ・ ・ ・中略 ・ ・ ・宿雪は春夏も消えず。(原文は漢文)

現在の山頂の状況と似た点が多く、早くから富士登山が行われていたことが分かります。同書には役居士すなわち役小角(えんのおづぬ)が富士山頂を極めたという伝説ものっており、信仰登山の兆しも有りますが、登山はまだ珍しい事であったと思われます。



久安5年(1149)末代上人が、浅間大神の本地仏が大日如来との本地垂迹説により、富士山頂上に大日寺を建てるなどし、富士登山信仰の素地となったと思われます。大日寺は程なく頽廃しましたが、室町時代には修験者による富士登山が盛んになると、再び大日堂・薬師堂などの祀堂が建てられ、崇敬されるようになりました。当大社所蔵の絹本著色富士曼荼羅図(重要文化財)には、登山の情景が細かく描かれており、その様子を知ることができます。これによっても当時既に信仰登山が盛んに行われ、様式も整ってきていたことが分かります。

戦国時代末から江戸時代初め、長谷川角行が人穴に籠もり、修験とは異なる仙元大日神を信仰する教えを説きました。これは、関東を中心に広がり、江戸時代中期、富士講へと発展していき、富士登山は急激に増えていきました。各地では浅間神社が祀られ、富士塚などをつくって登るなど、独特の信仰も生まれました。

「絹本著色富士曼荼羅図」 (富士山本宮浅間大社蔵 現在非公開 室町時代、国の重要文化財) 最上部に富士山、左下部に浅間神社境内が描かれている


参考文献

参考文献として主なものをあげます。なお、これらは富士宮市立図書館にあります。


富士宮から神の山「富士山の魅力」

「富士山世界文化遺産」日本一の高さ、日本一の美しさを誇る富士山

日本最高峰 富士山は、標高3,776mの山、日本を代表する独立峰です。その稜線の雄大な美しさから、古の時代よりさまざまな文化の源として人々の生活に息づいてきました。 富士山の誕生は、2,300万年前〜500万年前。 海底火山の噴火を発端として、4回にわたる大噴火により、駿河湾まで豊かに伸びる傾斜面の成層火山として成り立ちました。 頂に近くなるほど傾斜が増して美しい円錐形を描く様は、日本一の美しさを誇り、今も昔も人々に愛されています。 富士宮市は、富士山西南麓に広がる地域です。富士山の麓から、山頂まで、高低差日本一の市でもあります。富士宮口登山道は、標高2400mで、五合目の中では最も高いところにあります。 ほぼ市内全域から様々な富士山の姿を楽しむことができます。 市街地の南麓からは、最高峰地点の剣ヶ峰を山頂の中央に配し、流れる稜線の右に宝永山を抱く優美な姿。朝霧高原などの西麓からは、大沢崩れを中央に猛々しい富士山の姿を楽しむことができます。


現代の「富嶽三十六景」とは

富士宮市内と富士山

富士山本宮浅間大社と富士山

春爛漫の富士山

朝もやの富士山

朝霧高原の富士山

秋桜と富士山

白糸の滝と富士山

田貫湖と富士山

紅富士

葛飾北斎 富嶽三十六景「赤富士」


世界文化遺産 「富士山本宮浅間大社」を巡るの続きは明日掲載いたします。


交通アクセス



鎹八咫烏 記

伊勢「斎宮」明和町観光大使



協力(順不同・敬称略)

富士山本宮浅間大社 〒418-0067 静岡県富士宮市宮町1-1 TEL 0544-27-2002 

文化庁 〒100-8959 東京都千代田区霞が関3丁目2番2号 電話番号(代表)03(5253)4111
公益社団法人 富士宮市観光協会 〒418-0065富士宮市中央町16番1号 TEL 0544-27-5240
徳川美術館 〒461-0023 愛知県名古屋市東区徳川町1017 電話番号 052-935-6262




ZIPANG TOKIO 2020

2020年、東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。 この機会に、世界の人々にあまり知られていない日本の精神文化と国土の美しさについて再発見へのお手伝いができればと思います。 風土、四季折々の自然、衣食住文化の美、伝統芸能、行事、風習、ものづくりの技の美等、 サイトを通じて、平和な国、不思議な国、ZIPANG 日本への関心がより深かまるならば、私が密かに望むところです

もしもこのサイトに同じ思いをお持ちの皆様から、素敵な情報や画像をお寄せ戴ければこの上ない喜びです。以下のEメールアドレスへご連絡下さい。

E-mail aromajinja@gmail.com ( ZIPANG 2020 編集部 )。

2020, will be held the Olympic Games and Paralympic in Tokyo.

On this occasion, for the little-known beauty of the spiritual culture and national land of Japan to the people of the world I think that if we help to re-discover.

Climate, nature of the four seasons, of food, clothing and shelter cultural beauty, traditional arts, events, customs, beauty, etc. of the work of making things,

Through the site, peaceful country, a strange country, if the interest is more depth or round to ZIPANG Japan, is where I want secretly.


写真ご協力:高山祭(高山市)/ 富士山(富士市)

ZIPANG TOKIO 2020

2020年、東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。 この機会に、世界の人々にあまり知られていない日本の精神文化と国土の美しさについて再発見へのお手伝いができればと思います。 風土、四季折々の自然、衣食住文化の美、伝統芸能、行事、風習、ものづくりの技の美等、 サイトを通じて、平和な国、不思議な国、ZIPANG 日本への関心がより深かまるならば、私が密かに望むところです。

もしもこのサイトに同じ思いをお持ちの皆様から、素敵な情報や画像をお寄せ戴ければこの上ない喜びです。以下のEメールアドレスへご連絡下さい。

E-mail aromajinja@gmail.com ( ZIPANG 2020 編集部 )

2020, will be held the Olympic Games and Paralympic in Tokyo.

On this occasion, for the little-known beauty of the spiritual culture and national land of Japan to the people of the world I think that if we help to re-discover.

Climate, nature of the four seasons, of food, clothing and shelter cultural beauty, traditional arts, events, customs, beauty, etc. of the work of making things,

Through the site, peaceful country, a strange country, if the interest is more depth or round to ZIPANG Japan, is where I want secretly.

0コメント

  • 1000 / 1000