世界遺産、清水寺に通じる二寧坂の地で、暖簾や畳の間があるスターバックス 『スターバックス コーヒー 京都二寧坂ヤサカ茶屋店』 が、2017 年 6 月 30 日にオープンする。
伝統的な日本文化を感じながら、世界で例を見ない豊かなコーヒー体験 が楽しめる!
スターバックス コーヒー 『京都二寧坂ヤサカ茶屋店』は、世界遺産の清水寺へと続く二寧坂※に位置し、大正時代の面影を残した、歴史と文化を感じる町並みにある築100年を超える2階建ての伝統的な日本家屋を使用した店舗である。
主屋と大塀(だいべい)は、「産寧坂伝統的建造物群保存地区保存計画」において伝統的建造物に指定されている。
特に大塀は二寧坂沿いでは唯一当時のまま残る建造物であるため、貴重なものとして大切に
保存されてきた。この歴史ある日本家屋や地域への敬意が込められて、可能な限り保存する形で京都の文化や伝統とスターバックスのコーヒー文化を融合させた新しい和のおもてなし空間が作り上げられた。
スターバックス コーヒーは、コミュニティを大切にし、地域の方たちや二寧坂を訪れる国内外の観光客の皆様を、この特別な空間とおも てなしの精神でお迎えします!
店舗の位置するニ寧坂界隈では、歴史、文化、観光、生活など様々な観点での配慮があり、景観を何より大切にし、地域を守る人の息づかいが感じられる町であることを大事にしている。スターバックスは地域の一員として責任を担い、店内混雑時の入場制限、店舗前での行列の禁止など、すべての方たちと一緒になって、地域社会や環境に寄り添っていくことを方針としている。
※二寧坂とは
東山山麓の社寺をめぐる京都を代表する散策路。高台寺、ねねの道から、法観寺(八坂塔)、産寧坂、清水寺へと至る京都らしい四季折々の風情を、石段からの見下ろしと見上げの変化ある眺望を楽しむことができる。
大正数奇屋風の意匠に特徴のある伝統的建造物が建ち並び、八坂塔を見上げる路地や緑豊な東山を背景に、京都の典型的な歴史的風致を形成している。
建物について
江戸時代(宝暦年間)に桝屋喜兵衛により家敷地(桝屋町)として開拓され、明治末年に藤井音次郎氏が、洗練された意匠の貸座敷・借家群として宅地開発し、そのうちの 1 棟として建築された。大塀を持つ貸席用途の和風邸宅で、昭和期からは「たて山」として平成17(2005)年まで営業され、現在は彌榮(やさか)自動車株式会社が所有し、重要伝統的建造物群保存地区の「伝統的建造物」として主屋と大塀が保存されている。
<デザインの特徴>
1階
■ 暖簾を潜った先の店内には 、京都 ・東山花灯路※を見立て、カウンターの光と庭から入る光を辿りながら進むと、奥庭が広がるバーカウンターに繋がる。この建物の形状を活かし、「通り庭」を歩くような体験ができるように設計してある。またバーカウンターでは、バリスタがお客様をお迎えし、一人ひとりのお客様とのつながりを大切にすることで、地域とコーヒーを結びつける。
■前庭、中庭、奥庭の 3 つの庭には、それぞれ印象的な蹲(つくばい)など設置している。庭石や木々の 緑とともに、光の差し込む伝統的な庭の空間を演出している。
※京都・東山花灯路とは
21世紀からはじまる京都の夜の新たな風物詩となることを目指して、2003年3月から京都市東山地域において、「灯り」をテーマとする催しの『京都・東山花灯路』が行われている。京都を代表する寺院・神社をはじめとする歴史的な文化遺産やまち並みなどを、日本情緒豊かな陰影のある露地行灯の灯りと花により思わず歩きたくなる路、華やぎのある路を演出している。
2階
■2階には畳の上で靴を脱いでくつろげる座敷を3部屋用意。京都の丹後の素材を張り地に使用した座布団に座り、いつもとは異なる空間で気に入ったコーヒーを楽しむことができる。
■各座敷に設けた床の間には、コーヒーストーリーを表現し、西陣の技術、素材を生かした布で表装されたオリジナルの掛軸を掛け、京都の文化とスターバックスのコーヒー文化の融合を表現してある。
スターバックスからのメッセージ
「スターバックスは 、1996 年に日本一号店を出店して以来、それぞれの店舗が地域で末永く愛される『サードプレイス(家庭、職場、学校に次ぐ第三の生活拠点)』となることを願い、日々地域とのつながりを深めてまいりました。 そして、今回オープンする『京都二寧坂ヤサカ茶屋店』は、日本の伝統文化への敬意を表現した、これまでにないスターバックス体験をお楽しみいただける店舗です。スターバックスのミッションである「人々の心を豊かで活力あるものにするために-ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから」を大切にし、常に新しいスタイルや商品を提案してまいります。
(お問合わせ先 TEL 03-5745-5890)
附記
京都市産寧坂伝統的建造物群保存地区
~京都の歴史的な町並みを守るために~
産寧坂伝統的建造物群保存地区
産寧坂の町並み
東山山麓に位置する当地区一帯は,京都の東郊として早くから開けたところで,平安京以前からの歴史が重畳し,今も多くの歴史的遺産を有しています。
当地区は,当初,清水寺,法観寺,祇園社などの門前町としてはじまったが,江戸時代中期以降は,これらの社寺を巡る道に沿って市街地が形成され,さらに明治・大正時代の市街地の拡大をみて,今日に至っています。
なお,現在の道に沿って建ち並ぶ茶店や伝統工芸品を商う店は,近世の名所巡りの系譜をひくものとみることができます。
また,石塀小路一帯は,明治時代末期から大正時代初期にかけて,貸家経営を目的とする宅地開発が行われて,今日に至っています。当地区の景観は,路地(石塀小路)に特徴があり,連続する石畳や石塀,石垣は,当初の様式を保つ和風住宅群と共に大正時代初期の町並みの面影をよく残し,京都市内でも独特の空間となっています。
近年の問題点や課題
観光地化が進む産寧坂地区
この産寧坂地区では,近年人口が減少し,高齢化が進んでいます。京都市全体でもその傾向を示していますが,そのことは,空き家の増加や店舗化傾向と軌を一にしています。当地区は,もともと商住混合地域でありましたが,居住者が他所へ移り住み,空き家になる又は転売されて店舗になるという構図が定着しつつあります。その結果,観光客は増加し,住民が減少して,観光地化がますます進んでいます。
また,観光地化が進むことにより,店舗の入れ替わりが激しくなり,それに伴い建物の改装が頻繁に行われます。時には,許可を受けずに外観の意匠変更が行われ,違反指導により元の外観に是正する事態も発生しました。
このような事態を未然に防ぐためにも,地域住民と行政とのより一層の連携が求められています。
地域景観づくり協議会制度
二年坂の町並み
地域の景観を保全・創出するため,地域住民が主体となって景観づくりに取り組まれる組織を京都市が認定し,当該地域で建築活動等を行う建築主等と,より良い景観形成に向けて意見交換をしていただく制度が,平成23年4月1日からスタートしています。
景観は,それぞれの地域ごとの歴史,風土,文化や伝統,一人ひとりの暮らしや経済活動,技術の進歩や法律等の制度などが背景となってつくられるものです。
まちの景観の魅力を楽しみ,維持・継承・改善するために,地域の方々が主体的に行う様々な活動は,その地域ならではのいきいきとした景観として表れてくるとともに,そのようにしてつくられた良好な景観が人々の地域に対する愛着を育みます。 地域景観づくり協議会は,地域の方々が思いや方向性を共有し,更には,建築主や事業者等と一緒になって地域の景観づくりを進めていくためのきっかけとなることを目的にしています。
現在,京都市の5つの地域で地域組織を地域景観づくり協議会に認定しており,産寧坂地区においても一念坂,二年坂付近の地域組織が平成25年4月15日に認定されています。これらの地域では,地域の景観づくりの方針や配慮事項等を「地域景観づくり計画書」としてまとめ,京都市の認定を受けているため,景観に関する手続の前に地域の協議会との意見交換が必要となります。
京都の歴史的な町並みを守るために
八坂の塔と石畳
京都は,早くから,地域コミュニティの力や町衆の協調的な活動によって,優れた景観を創出し,継承・発展させてきました。今後も,地域住民をはじめとするあらゆる主体が,京都の歴史的な町並みを守り,育て,創り,活かすことについて意識を高め,参加・協力することが重要です。
したがって,京都の歴史的な町並み保全に当たっては,“みんなの共有財産”としての景観に対する意識の醸成やコミュニティにおける価値観の共有を促進するとともに,町並み保全に関する活動への参加・協力により,市民,事業者,行政,専門家,NPO等が,京都の景観の価値を改めて認識し,それぞれの役割を踏まえ,一体となって取り組む必要があります。
先に述べた取組は,一人一人の気づきから始まり,そして守り,また生み出す行動へとその輪を広げていくことにより,良好なものへと育ち,ひいては都市全体の優れた景観やまちづくりにつながっていきます。これからも,地域住民と行政が密に連携し,京都の歴史的な町並みを守る取組を推進してまいります。
協力
文化庁 〒100-8959 東京都千代田区霞が関3丁目2番2号 電話番号(代表)03(5253)4111
(出典:伝建地区を見守る人々 伝建歳時記)
0コメント