早池峰神楽(はやちねかぐら)
花巻を代表する伝統芸能であり、国の重要無形民俗文化財に指定されているのが早池峰神楽。修験者が長い旅の後に披露した芸が土着し、豊作、無病息災、家内安全等を祈願して舞うことが慣習化し、地域に継承されたと言われています。早池峰神楽は大償(おおつぐない)と岳(たけ)の二つの神楽座の総称で、その起源は南北朝時代ではないかと言われています。大償神楽はゆるやかで繊細な女舞に特徴が、岳神楽は勇壮で活発な男舞に特徴があります。
岩手県花巻市
2009年 ユネスコ 無形文化遺産保護条約 「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」記載
保護団体 : 早池峰神楽保存会、大償神楽保存会、岳神楽保存会
重要無形民俗文化財(民俗芸能:神楽)昭和51年5月4日指定
花巻市大迫町の大償(おおつぐない)・岳(たけ)の2地区に伝承される神楽で、もと早池峰山を霊峰として仰いだ山伏修験によって演じられた。明治以降、土地の人々の伝承するところとなり、現在では早池峰神社の8月1日の祭礼などに演じられる。又、歳末には民家の座敷を舞台にしても行われる。
神楽は式舞、座外の舞、狂言などから成り、まず一定の決められた演目を演じることになっており、これを式舞という。式舞には「鳥舞」「翁舞」「三番叟」「八幡舞」「山の神舞」「岩戸開」の6曲がある。式舞の後は座外の舞、神舞、荒舞、番楽舞、女舞、狂言が演じられる。これらすべての舞の最後には、権現様と呼ばれる獅子頭による「権現舞」が舞われている。
早池峰神楽は、室町時代に能が大成する以前の姿をうかがわせるなど、その演技、演出法には特色の著しいものがある。
郷土芸能鑑賞会開催のご案内
開催日 平成29年7月30日(日)
開催時間 13時から16時30分(12時開場)
開催場所 花巻市文化会館 大ホール
イベント概要 市内の郷土芸能団体7団体と一関市より『達古袋神楽』をゲストに迎え、計8団体が各郷土芸能を披露する。 入場料無料
連絡先 花巻市文化財課
お問い合わせ
電話番号 0198-45-1311
達古袋神楽(特別出演)
達古袋神楽(一関市)
南万丁目かせおどり
南万丁目かせおどり「雪中田植え」
大念仏・大念仏剣舞・鬼剣舞
南無阿弥陀仏の六字名号を唱えながら祖霊・精霊をまつり、欣求浄土の願いをこめて踊る念仏踊り系の芸能は、かなり古い時代から行われてきたもののようです。その発生起源も、役の行者が念仏普及のため踊り始めたとも、あるいは羽黒山の修験者が衆生済度の念仏踊りとして広めたものとも、また、空也上人説、一遍上人説などの外、伝承経路にも宿阿上人あるいは是信弘法によって伝えられたなど種々の伝説があって一定し難いものがあります。
何れにしても、祖霊供養と度重なる戦乱によって不慮の死をとげた怨霊の鎮魂、あるいは打ち続く不作凶作の犠牲となって死亡した餓死者の霊を慰めるとともに、すさんだ民衆の心を和らげるために始められたものであろうといわれています。踊り集団の象徴として極楽浄土をあらわすという台笠、あるいは、ひんどろなどを持つものもあり、それのないものもあります。
多くは盆の三日間を中心に、庭元をはじめ各家々を廻って仏前に回向し庭や墓前で踊ります。踊り手は揃いの衣装に花笠またはつまぐり笠をかぶり、つぼけ、ひさご、ちょうじゃ、刀などの採り物を持って踊り、太鼓、横笛などの胴前は独立しています。ただし、鉦、ささらなどの鳴り物は踊りの輪の中に入って踊る場合が多くこれが一般的な念仏踊りです。
同じく胴前が独立しているが、舞い手が異風の装束をつけ、いかつい鬼面で太刀を持ち大地を踏みしめるようにして、激しく踊るものに鬼剣舞があります。これも祖霊をまつり怨霊を鎮めるものといわれ、念仏踊りの仲間です。この異装鬼面で勇壮華麗な鬼剣舞は、その男性的な荒々しさとのびのびとして躍動的なところが、北方人のもつ力強さを象徴しており、鹿踊りとともに岩手県を代表する郷土芸能といわれる所以です。
名称・所在地・指定
豊沢大念仏剣舞・(花巻)下似内・昭和52年12月9日市指定無形文化財
大畑念仏剣舞・(湯本)大畑
葛大念仏踊・(宮野目)葛・昭和36年7月5日市指定無形文化財
太田中央大念仏剣舞・(花巻)太田
椚の目鬼剣舞・(湯本)椚ノ目
南笹間鬼剣舞・(笹間)南笹間
中乙念仏踊・(大迫町)内川目・昭和36年9月1日市指定無形文化財
八幡「鹿踊」
鹿子踊、獅子踊、鹿踊などと書かれた資料もありますが、何れも「ししおどり」と呼ばれます。前腰に締め太鼓をくくりつけ、自ら打ち自ら歌いながら踊る太鼓踊り系と、胴前が独立していて、踊り手が囃子に応じて踊る幕踊り系に分類されます。一人立ちで、八人一組で構成され、鹿の角を飾り黒い毛釆(けざい)のある権現型獅子頭を頭に頂き、丈の高いささらを腰の後ろから背中を通して頭上高く抜き出しています。幕、袴、ながしで全身が覆われた異様な装束で踊る様子は、一種の霊力を連想させるものがあり、鬼剣舞とともに岩手県を代表する郷土芸能です。
鹿踊りの由来は、浄土教の普及を志す空也上人が衆生済度のため、深山の小庵に篭って勤行三昧の日々、小庵の囲りに来て遊ぶ鹿の群れがありました。そのうち猟師に撃ち殺された鹿の弔い供養のため踊り始めたと云うものの外、いろいろの起源伝説があり、それぞれ伝承由来の伝書巻物を伝えているところもあります。
これを概括的に見る限りでは、心ならずも命を失ったものの怨霊を鎮魂し、祖霊精霊の供養のものであることが知られます。そして、発生の原点は念仏踊りと軌を一にしているとみられ伝承の経路には山伏修験者が介在していたことを思わせるものがあります。このように起源伝承が念仏踊りと共通する処があり、その系列に包括してもよいと思われるのだが、鹿の習性を写実的に取り入れた部分が多く躍動的な野生美が強調されていることから、これをここに独自の項目としました。
なお、花巻の土産品として売り出されている民芸品のうち、花巻人形とともに多くの人々に愛され人気を呼んでいるものに、木彫りの「鹿踊人形」があります。これの原型は、彫刻師・小原守三(号・竹船)が昭和5・6年ごろ制作したものであることを付記しておきたいところです。なお花巻まつりへの参加は昭和49年からです。
名称・伝承経路
鍋倉鹿踊・春日流湯本・平成12年4月8日市指定無形文化財
湯本鹿踊・春日流落合(東和)・昭和36年7月5日市指定無形文化財
椚の目鹿踊・(湯本)椚ノ目
北湯口鹿踊・(湯本)北湯口
名称・伝承経路
糠塚鹿子踊・平成17年3月18日市指定無形文化財
上ノ山鹿踊 春日流落合(東和)・平成14年9月26日市指定無形文化財
竪沢鹿踊 (幕踊系)・(大迫町)外川目・昭和36年9月1日市指定無形文化財
春日流八幡鹿踊・春日流落合・(東和)・昭和50年1月12日市指定無形文化財
春日流八日市鹿踊・春日流上の山・平成6年3月3日花巻市指定無形文化財
春日流落合鹿踊・春日流落合・昭和49年2月15日県指定無形民俗文化財
金津流丹内獅子躍・金津流・(奥州市江刺区梁川)・昭和40年8月27日市指定無形民俗文化財
東半月流野金山かながら獅子踊・東半月流・(遠野市宮守町)・昭和49年12月25日市指定無形民俗文化財
春日流八幡鹿踊(八幡)
南部曲がり家に鹿踊り
あやめと鹿踊り
花巻市各地において、積極的な郷土芸能の伝承活動に取り組む7団体と、一関市より『達古袋神楽』の皆様をゲストに迎え、計8団体による郷土芸能をご覧いただきます。皆様お誘い合わせのうえ、ぜひご来場ください。
鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」明和町観光大使
協力(順不同)
花巻市 〒025-8601 岩手県花巻市花城町9番30号 電話 0198-24-2111
一般社団法人 花巻観光協会 〒025-0004 岩手県花巻市葛3-183-1 TEL 0198-29-4522
文化庁 〒100-8959 東京都千代田区霞が関3丁目2番2号 電話:03(5253)4111(代表)
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