(仮称)住吉・上中島・松倉統合小学校木造校舎建設基本計画(概要版)
学校施設は、子どもたちの学習の場であるとともに、一日の大半を過ごす生活の場でもあり、それにふさわしい豊かな環境として整備することが求められる。
木がもつ香り、温かみや感触、高い吸湿性といった優れた性質を活用した木造校舎は、潤いのある学習・生活環境を実現する大きな効果が期待できる。また、 「木を生かした学習」、「環境教育」など地域に目を向け地域を教材化した学習も可能になるほか、地場産木材を活用することで地域の活性化にもつながることが予想される。 こうしたことから、魚津市では平成 31年 4月に開校する(仮称)住吉・上中島・ 松倉統合小学校の校舎を木造3階建てで建設することとした。
計画策定の背景
急激な少子高齢化の進展に伴い魚津市では、子ども たちにとってより良い教育環境を整備し、教育効果の 向上を図る乙とを目的に、市内に 12ある小学校を4 校に統合再編する「魚津市学校規模適正化推進計画」 を策定した。住吉小・上中島小・松倉小学校の統合校は、 現在の住吉小学校の敷地に集約することとしている。
木造校舎における醍慮事項等
建築基準法の一部改正(H27年 6月公布)により、 木造3階建ての学校が以前より計画しやすくなった。
①法第 21条第二項第2号
「壁等Jで床面積 3,ooom以内ごとに区画すると とで、大規模木造建築物を耐火建築物以外の建築 物とすることが可能になった。
②法第 27条
3階建ての学校の場合、 一定の延焼防止措置を講 じた 1時間準耐火構造とすることが可能になった。
基本計画策定のための体制
H 2 7年 11月に、 (仮称)住吉・ 上中島 ・松倉統 合小学校木造校舎新築事業設計業務公募型プ口ポーザ ル審査委員会を開催し、設計者として東畑 ・鈴木設計 共同体が選定された。基本計画を策定するため、審査 委員会の委員および保護者や地域の代表者からなる 「(仮称)住吉 ・上中島 ・松倉統合小学校木造新校舎建 設基本計画検討委員会 (以下、検討委員会)」を設置し、 プロポーザル時の技術提案をもとに協議を行った。
検討委員会
検討委員会では、主に校舎の配置計画について検討 し現校舎の問題点を整理しながら、配置計画を検討 するにあたっての条件整理や、今後の基本設計・実施 設計につながる設計の条件整理を行った。また、先進 事例に関するレクチャーや視察報告を通 して、木造校 舎建設の意義や課題について理解を深めた。
検討はワークショ ップ形式で行い、各グループにグ } レープリーダーを配置することで、メンバー全員がそ れぞれの思いを言いやすい環境とした。
木材調達検討会
木造校舎建設に必要な木材の調達において、無理な く市内森林及び市内事業者の関与を図るため、 「木材 調達検討会」を基本計画段階から開催し、建設工事に 先立ち行う木材調達に必要な、伐採事業者や設計者へ の情報提供、実施体制 ・実施スケジ、ユ- }レ・発注要領 等の検討を行った。
設計上の配慮すべき事項
木がもつ香り、温かみや感触、高い吸収性といった木の魅力を最大限に活かした木造校
舎は、児童生徒に潤いのある学習・生活環境を提供できることが望める。また、「木を活か
した学習」「環境教育」など、地域に目を向け地域を教材とした学習が可能となるほか、地
域材(地元産材)を活用することで、地域経済の活性化や間伐材の使用による山林育成、
地域の木の文化の伝承にも期待できる。
こうしたことから、本事業は、文部科学省が実施する「木の学校づくり先導事業」の支
援を受けて行うことを想定しながら、今後、木造校舎の建築を行う地方自治体のモデルと
なるよう取組むものである。
また、各施設は、総事業費及び負担金制度上の制約等を勘案の上、できるだけ一体的に
整備し、敷地の有効活用を図るものとする。
※補助金は国庫負担金事業(補助率1/2)
(1)施設計画
ア.シックハウス症候群への対応
イ.将来の教室数の増減への対応
ウ.多様な学習形態(少人数教室、英語教育、環境、ICT等)への対応
エ.校内の安全管理向上に配慮した管理部門の配置
オ.通風、採光の取り入れと遮断による快適性
カ.地域のシンボルとなる外観と景観への配慮
キ.木の特性を最大限に生かした建築物
ク.自然環境への配慮や環境教育への活用
ケ.予算の範囲内での地域材(地元産材)の活用
コ.防災拠点施設としての有効活用
(2)コスト縮減
ア.施設の長寿命化
イ.木材の劣化を防止するための配慮
ウ.メンテナンスの容易さ、ランニングコストの縮減、再生エネルギーの活用
エ.計画的に木材を調達するための協力体制の構築
オ.使用する木材の樹種の検討(地産木材・一般流通材・間伐材の活用等)
(3)その他
ア.工事中の安全対策と教育環境の確保
イ.無理のない業務工程計画
ウ.基本計画に掲げた木造校舎の概算工事費の把握
統合小学校建設の基本方針
(1)魚津市が目指す学校教育の姿
魚津の未来を切り拓く、人間としての調和のとれた児童・生徒を育てる環境
本市の学校教育では、豊かな自然環境や教育資源などの地域性を生かした特色ある教
育を創造し、知・徳・体の調和のとれた教育を進め、他人と協調しつつ自律的に社会
生活を送ることができる子どもたちを育てることを目指している。そこで、次の教育
方針を掲げ、魚津市が目指す教育の姿を実現させるための学校施設の整備を進めてい
る。
木造校舎建設の基本方針
① のどかな田園風景にとけ込みつつ特色ある学校施設とするため、新築する統合校校
舎は木造とする。
② 木の香りやあたたかみのある自然の感触を体全体で味わえるといった、木の魅力が
最大限に生かされた学校施設とする。
③ 安全・安心で環境に配慮した教育空間を整備するとともに、発災時には防災機能を
有する地域の拠点となる施設とする。
④ 地域材(地元産材)を活用しながら、木の魅力を最大限に活かした木造校舎とする。
1.施設名称 (仮称)住吉・上中島・松倉統合小学校
2.敷地概要
(1)所在地 魚津市住吉 203 番地
(2)敷地面積 13,725 ㎡ ・建 物 敷 地 面 積:7,515 ㎡
・屋外運動場面積:6,210 ㎡
計画の実現に向けて
学校施設を設計するにあたっては、専門家の助言はもとより、保護者や地域住民、児童の意見も積極的に取り入れる必要がある。特に、地域住民に学校づくりに参画していただくととで、学校と地域住民の絆や施設への愛着が深まり、将来に渡って学校運営への協力が期待できる。
としたことから、検討委員会での3回に渡るワークショップを通して、保護者や地域住民の意見を十分に把握しながら、木の魅力を活かした学校施設の在り方や田置計画などについて検討を重ねた。今後、本計画を踏まえながら木造校舎の設計、建設と事業を進めていくが、これまでと同様、保護者や地域住民、教員、児童等の意向を十分に聴きながら実施していきたい。
また、本事業が、今後、木造校舎の建築を行う地方自治体のモデルとなるよう取組んでいきたい。
東畑・鈴木設計共同体〔(株)東畑建築事務所、(株)鈴木一級建築士事務所〕
平成 29 年度 ~ 平成 30 年度
校舎新築工事、既存校舎解体工事(平成 30 年度末までに既 存校舎解体まで行う)、外構工事(平成 31 年度のなるべく早 い時期までに完了)
協力
文部科学省 〒100-8959 東京都千代田区霞が関三丁目2番2号 電話番号:03-5253-4111(代表)
魚津市役所・魚津市教育委員会 〒937-8555 魚津市釈迦堂1丁目10番1号
電話番号:0765-23-1043
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