八幡総本宮 【宇佐神宮】(後編)をご覧いただき「日原もとこ」氏からご寄稿いただきましたのでご紹介いたします。まずは、八幡総本宮 【宇佐神宮】について・・・
宇佐神宮は全国に4万社あまりある八幡様の総本宮である。
八幡大神(応神天皇)・比売大神・神功皇后をご祭神にお祀りし、神亀2年に創建された。
皇室も伊勢の神宮につぐ第二の宗廟(そうびょう)として御崇敬になり、
一般の人々にも鎮守の神として古来より広く親しまれてきました。
国宝 宇佐神宮「御本殿」
宇佐神宮「御本殿 側面」
宇佐神宮「勅使門」
宇佐神宮「上宮一之御所」
宇佐神宮「上宮二之御所」
宇佐神宮「上宮三之御所」
宇佐神宮「上宮」ライトアップ
宇佐神宮下宮へ
宇佐神宮「下宮」
宇佐神宮「下宮一之御殿」
宇佐神宮「下宮二之御殿」
宇佐神宮「下宮三之御殿」
宇佐神宮「西大門」
宇佐神宮「宇佐鳥居」
宇佐神宮「夫婦石」
宇佐神宮「御霊水」
宇佐神宮「呉橋」
宇佐神宮「呉橋」の扉は10年に一度しか開かれることがない。
宇佐神宮「大鳥居」
宇佐神宮は寄藻川にかかる「神橋」を渡ると大鳥居があり上宮に向かう。
伊勢神宮は鳥居をくぐると内宮への入口、五十鈴川にかかる宇治橋がある。
宇佐神宮「神武天皇聖蹟菟狭顕彰碑」
「豊かな自然の恵み 八幡総本宮 【宇佐神宮】(後編)」を拝見しました。私は嘗て宇佐神宮にはご参拝したことが無く、その優美さと規模の壮大さに驚嘆。さすが、名にし負う宇佐神宮! 広島人の私が東北に居付いて25年ほどになります。東北を歩いてみますと、この地域は土着性の伝統行事や信仰に見られる慣習など、地域性が色濃く残り、旧石器時代から続く、縄文文化の歴史が今続々と立証されており、日本人の原点であることを感じざるを得ません。そんな折、 今回の主題、宇佐神宮とは秦族一族の拠点であり、日本で最大の数を誇る約44,000社ある八幡宮の総本社であります。東北一帯には古代のえみし族が信仰していた神々を祀る小さな祠や野仏などを見ると、殆どが庶民によって建てられたもので小さく、粗末な造りですが、色とりどりの端切れで編まれた真新しい鈴の緒が御堂の前に下がっていたり、お饅頭や、野花等が供えてあると、何故かほのぼのとした気分が致すものです。 しかし例えば、旧名:古志王神社等は本来、越国の御祭神であったものが、坂上田村麻呂を始めとする徳川幕府の将軍に至るまで、歴代、征夷大将軍と名乗り、東北のえみしを標的にした征伐を繰り返して、彼らが祀ってきたシンボルの小社や祠の殆どが八幡神社に塗り替えられていることが分ります。 宇佐神宮とは、えみし族に対する征服神である八幡神社の総社であるため、ある意味で、私の中に勝者対敗者の感覚がいつの間にか芽生えていて、日本人のルーツを探りたい私は、若しかすると中立性を欠いた弱点になっているかも知れません。 先ずは、色々と掲載された画像を通して、或いは、編集長の細やかなご専門の目を通して提供された、トピックス記事が大変新鮮です。例えば御祈祷殿前に聳える大楠の御神木の画像から、
九州では用材としてのクスノキが仏像作りにも及ぶ話です。━実は、昨日は”えみし学会”のフィールド研修会で会津や坂下、喜多方の土地と古墳巡りで出逢った仏像は殆どがケヤキ材、たまにカツラ材の一木彫りでした。━つまり、ケヤキは東日本にその多くを見る落葉樹林、クスノキは西日本を代表する常緑樹の典型です。 こうした風土環境の違いで思うことは、祈りの形態にも神仏に対する心の距離が大分異なる気がしてきました。西国は四季を通じて常緑樹に囲まれた鎮守の森にオーラを放つ厳かな社殿の佇まいに対して畏敬の念が当然湧いてきます。
山形県南陽市熊野大社 御祭神 熊野大神様は「むすひ」の神様です。「むすひ」とは、ものが生まれる力で、動物も、植物も、そして人間も、この「むすひ」の力によって、この世に生まれてきます。
山形県南陽市熊野大社 厳しい冬の豪雪にも耐えることのできる確りした造りの拝殿。
熊野大社御神木大銀杏
しかし、東国にも勿論豪壮な寺社殿はあるにせよ、大昔から一貫して自分たちが共通して造り上げた信仰形態、所謂アニミズムと申しますか、紅葉の秋を迎え、冬季には落葉した後、一面銀世界の雪国となる野仏たちは、寒かろうと村の女性たちが毛糸で編んだ帽子を被せたり、襟巻を巻いたりの風景が見られます。
秋田県男鹿市「石仏龕(せきぶつがん)」
石仏龕(せきぶつがん)とは石室の中に仏像を安置したもの。この石仏龕は三枚の岩を板状に加工して箱形に組み合わせ、その上に屋根石を載せている。前方に石の扉がついていたと思われるが、現在は欠けており、内部には肉厚8cm、高さ23cmの阿弥陀如来像が彫られている。年号は見られませんが、鎌倉時代の終わり頃の石造遺物と考えられる。
秋田県男鹿市「五輪塔群」
五輪塔(ごりんとう)は密教で造られはじめた塔で、下から方・円・三角・半月・団方からなる五輪とし、これを地・水・火・風・空の五大を表すもの。供養塔や墓標などに用いられました。 この五輪塔は高さ172.5cm巨大で、男鹿半島西海岸にある加茂青砂の石を用いており、制作年代は鎌倉時代末期から南北朝期頃と推定されている。
山形県長井市山の斜面に「不動尊祀る三階の滝」
山形県「遊佐の胴腹滝の祠と石仏」
山形県上山市「坊平のお清水と石仏」
山形県鶴岡市閼伽井の清水と祠
山形県米沢市「前田慶次由来の遺構」
山形県山辺町作谷沢山中の「供養塔」
そんな、記憶も生々しい昨日のフィールドワークに対しての本日のサイトですから、大変印象的なトピックスだったのです。一部、抜粋してみますと… ・クスノキに使われる「楠」という字は本来、中国のタブノキを指す字である。台湾、中国、ベトナムといった暖地に生息し、それらの地域から日本に入り、本州西部の太平洋側、四国、九州に広く見られる… ・各部全体から樟脳の香りがする。樟脳とはすなわちクスノキの枝葉を蒸留して得られる無色透明の固体のことで、防虫剤や医薬品等に使用される… ・また、防虫効果があり、巨材が得られるという長所から家具や飛鳥時代の仏像にも使われ… ・古来から船の材料としても重宝され、古代の西日本では丸木舟の 材料として使われ、…古事記の「仁徳記」に登場するクスノキ製の快速船「枯野」の逸話からもうかがうことができる。等々。
ある宗教がその土地の地域住民の間に根付き、その信仰が広まるには風土環境が大きな要因になっていることを感じました。空撮された、鬱蒼とした小高い森に囲まれた宇佐神宮の景観などは、人智の及ばない高く尊い最高神に対する畏敬の念を如何に表すか?を端的に象徴している典型的事例でした。(画像ーキャプション 森を守るように建つ「宇佐神宮」参照)
西洋のゴシック建築は自然に対立する人工空間として天高く先鋭化した天井をもつ教会を創造し、最上部から射し込む光に神の存在を感得する工夫。当時の人々が表現でき得る限界に挑んだデザインに対して、
スペインバルセロナのアントニオガウディ設計によるサグラダファミリア(聖家族教会)
外観はバロック、内観はゴシックで外と内の様式が異なる。現在も建築中である。
ステンドグラス
日本の場合は豊かなる自然環境を利用し、幾重にも神殿を取り囲んだ森林を禁足地として、鎮守の森と名づけ、見えない偉大な存在を感じる…というコンセプトには同じ神秘的表現への工夫があり、言うなれば、西洋の一神教と日本の多神教はこのようにやがてそれぞれ、垂直思考と水平思考との違いを生む結果になったようですが。 異なる風土環境が育んだ地理的相違による自然と人間との関係はあれど、絶対的存在に対する畏敬の念への表現には両者ともに相通じるものがありますね~ 序でですが、多神教と云えば、東北の村落に点在する祠などは、いつでもお願い事や、相談事を持ちかけられる気軽な存在です。 人も死を迎え霊魂になってお山に上り、アノ世へ往って修行すれば神にも仏にもなれると考えているふしがあり、これを”成仏”と云うのでしょうか? お山の頂きに籠られる神仏を大変身近な存在として、あたかも祖先と同等視?果ては肉親のような近親感があるように見えてなりません。東北の昔は何度も飢饉に見舞われ、餓死者を多く出した史実があります。食い扶持を減らすために出稼ぎは当然のこと、長子以外は嫁とり家作も夢の又夢。郷里を捨てて浮浪人となるか、赤子の間引きや少女の身売りが当たり前に行われていたのです。野仏参りや祠への願掛けは、生活苦から垣の間逃れる手段でした。 そこへいきますと、飛鳥から奈良時代にかけて、我が国大和朝廷の発祥地、三輪山は本来、神奈備のお山で今でも御神殿はなく、拝殿のみが存在していて、拝殿の御簾を上げれば、そこは御神体の三輪山が鎮座されております。
三輪山
これこそが、自然に心から湧き出る本物の信仰形態ではないかと思うのですが、現代人はそのことをどのように理解しているのか知りたくなりました。
宇佐神宮には宇佐神宮奥宮「大元神社遥拝所」が設けられている。
御許山の9合目には宇佐神宮奥宮「大元神社」がある。
(参考)
欅(ケヤキ)
ニレ科ケヤキ属。落葉高木。別名ツキ(槻)と呼ばれている。日本ではケヤキ属には たった1種、ケヤキだけがあり、この属には4種があり、クレタ島、西アジアと東ア ジアに分布している。日本では今から数100万年前の第三紀鮮新世の地層からケヤ キの仲間のものと考えられる化石が見つかっている。本州、四国、九州、朝鮮、台 湾、中国に分布し、暖地では丘陵部から山地、寒冷地では平地まで自生している。高 さ20-25mの大木になり、街路樹や庭木などとしてよく植えられている。幹は直立 し、樹冠は、扇を開いたような形で美しく、冬の梢は、一層形がよく分かる。樹皮 は、灰紫褐色で雲紋状の薄い片となって剥がれ落ちる。若木では、横に長い楕円形の皮目が多く、全体としては滑らかである。葉の鋸歯は曲線的に葉先に向かう特徴的な 形であり、鋸歯の先端は尖る。雌雄同株で雌雄異花である。花は4 -5月頃、葉が出 る前に開花する。秋の紅葉が美しい樹木でもある。個体によって色が異なり、赤や黄 色に紅葉する。木目が美しく、磨くと著しい光沢を生じる。堅くて摩耗に強いので、 家具・建具等の指物に使われるが、伐採してから、乾燥し枯れるまでの間、右に左にと、大きく反っていくので、何年も寝かせないと使えず、特に大黒柱に大木を使った場合、家を動かすほど反ることがあるので大工泣かせの木材である。また、中心部の赤身と言われる部分が主に使われ、周囲の白太は捨てられるので、よほど太い原木で ないと立派な柱は取れないのである。しかし、日本家屋の建築用材としても古くから 多用され、神社仏閣などにも用いられている。現在は高価となり、なかなか庶民の住宅には使えなくなっている。
※滋賀県の長浜周辺では、一尺角以上の欅を大黒柱に使用した住宅を見ることができる。
【寄稿文】 日原もとこ
東北芸術工科大学 名誉教授
アジア文化造形学会会長
風土・色彩文化研究所 主宰
協力(順不同)
宇佐神宮 〒872-0102 大分県宇佐市大字南宇佐2859 TEL:0978-37-0001
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山形県山辺町役場作谷沢支所長 山形県東村山郡山辺町簗沢3102-1 TEL 023-666-2121
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