大神神社について
ご祭神の大物主大神(おおものぬしのおおかみ)がお山に鎮まるために、古来本殿は設けずに拝殿の奥にある三ツ鳥居を通し三輪山を拝するという原初の神祀りの様を伝える我が国最古の神社です。
大神神社 拝殿
大神神社拝殿の奥は禁足地として普段は神職さえ足を踏み入れない神聖な場所で、禁足地と拝殿の間には結界として三ツ鳥居(みつとりい)と瑞垣が設けられています。
1月1日 繞道祭(にょうどうさい)並 皇室御安泰祈願祭
天皇陛下のおことば
新年一般参賀
平成30年1月2日(火)(宮殿)
新年一般参賀 ©宮内庁
天皇陛下のおことば
新年おめでとう。 皆さんと共に新年を祝うことを誠に喜ばしく思います。 本年が少しでも多くの人にとり,穏やかで心豊かな年となるよう願っています。 年の始めに当たり,我が国と世界の人々の幸せを祈ります。
繞道祭(にょうどうさい)「ご神火まつり」とも称され、奈良県内で最初に行われる年中行事です。
また繞道祭に併せて平成30年の皇室の御平安を祈願いたしました。
大神神社の年頭を飾るご神火の祭典で、国家・御皇室の安泰と国民の幸福を祈ります。繞道祭に用いられるご神火は新年の始まりの午前零時を期して、拝殿の東方、禁足地内で宮司によりきり出されて、拝殿大床の燈籠に移し置かれます。
祭典では宮司祝詞奏上の後、ご神火を小松明に点し2人の神職が拝殿内を走り出て、拝殿前の斎庭で待つ3本の大松明に火が継がれます。そして、先入道(さきのにゅうどう)・後入道(あとのにゅうどう)と称する2本の大松明(長さ約3メートル)と少し小さめの神饌松明の計3本を氏子の若者がかつぎ、神職と共に山麓に鎮座する摂末社19社を巡拝します。ちなみに「繞」とは、「めぐる」という意味です。ご神火が境内のご神火拝戴所に移されると、待ちかまえていた参拝者が先を争って持参の火縄やカイロに火を移しとります。このご神火はそれぞれの家庭に持ち帰られ、神棚のお灯明や雑煮の祝火に用いられ、一年間の無事息災が祈られます。大和の正月は繞道祭で明けるといわれる年初の勇壮な火の祭典、繞道祭は浄火を尊んできた日本人の古代からの信仰を今に受け継いでいます。
大神神社
ご由来
大神神社の創祀(そうし)に関わる伝承が『古事記』や『日本書紀』の神話に記されています。『古事記』によれば、大物主大神(おおものぬしのおおかみ)が出雲の大国主神(おおくにぬしのかみ)の前に現れ、国造りを成就させる為に「吾をば倭の青垣、東の山の上にいつきまつれ」と三輪山に祀(まつ)られることを望んだとあります。 また、『日本書記』でも同様の伝承が語られ、二神の問答で大物主大神は大国主神の「幸魂(さきみたま)・奇魂(くしみたま)」であると名乗られたとあります。そして『古事記』同様に三輪山に鎮まることを望まれました。この伝承では大物主大神は大国主神の別の御魂(みたま)として顕現(けんげん)され、三輪山に鎮(しず)まられたということです。 この様に記紀(きき)の神話に創祀(そうし)の伝承が明瞭に記されていることは貴重なことで、大神神社が神代に始まった古社中の古社と認識されており、ご祭神(さいじん)の神格が如何に高かったかを物語っていると言えます。 そして、ご祭神(さいじん)がお山に鎮(しず)まるために、大神神社は古来本殿を設けずに直接に三輪山に祈りを捧げるという、神社の社殿が成立する以前の原初(げんしょ)の神祀りの様を今に伝えており、その祭祀(さいし)の姿ゆえに我が国最古の神社と呼ばれています。 「大神」と書いて「おおみわ」と読むように、古くから神様の中の大神様として尊ばれ、第十代崇神(すじん)天皇の時代には国造り神、国家の守護神として篤(あつ)く祀(まつ)られました。平安時代に至っても大神祭(おおみわのまつり)、鎮花祭(はなしずめのまつり)、三枝祭(さいくさのまつり)が朝廷のお祭りとして絶えることなく斎行され、神階は貞観(じょうがん)元年(859)に最高位の正一位(しょういちい)となりました。延喜式(えんぎしき)の社格は官幣大社(かんぺいたいしゃ)で、のちに大和国一之宮(やまとのくにいちのみや)となり、二十二社の一社にも列なるなど最高の待遇に預かりました。 中世には神宮寺(じんぐうじ)であった大御輪寺(だいごりんじ )や平等寺を中心に三輪流神道が広まり、 広く全国に普及し人々に強い影響を及ぼしました。近世に入ると幕府により社領が安堵(あんど)されて三輪山は格別の保護を受け、明治時代にはその由緒によって官幣大社(かんぺいたいしゃ)となりました。現在も国造りの神様、生活全般の守護神として全国からの参拝があり、信仰厚い人々に支えられて社頭は賑わっています。
ご祭神
ご祭神(さいじん)は国造りの神様として、農業、工業、商業すべての産業開発、 方除(ほうよけ)、治病、造酒、製薬、禁厭(まじない)、交通、航海、縁結びなど世の中の幸福を増し進めることを計られた人間生活の守護神として尊崇(そんすう)されています。 そして、崇神(すじん)天皇の御代に大流行した疫病をご祭神(さいじん)が鎮(しず)めたこと、杜氏(とうじ)の高橋活日命(たかはしのいくひのみこと)がご祭神(さいじん)の神助(しんじょ)で美酒を醸(かも)したことから、医薬の神様や酒造りの神様として広く信仰をあつめておられます。また、ご祭神(さいじん)の御名、「大いなる物の主」はすべての精霊(もの)をつかさどられる・統(す)べられるという意味をあらわし、災をなす精霊(もの)をも鎮(しず)め給う霊威(れいい)から厄除け・方位除(ほういよけ)の神様としても厚く敬(うやま)われています。
境内案内地図
関東は松の内と言うと元旦から7日までを言うようですが、関西では1月15日までを松の内と言っているところが多いように聞いています。また地方によっては20日までの所もあるようです。せめて1月くらいはゆっくり、のんびりしたいものですね。
これから大神神社を訪ねられる方のために境内の詳細マップ(写真と簡単な説明)を添付いたしますのでどうぞご利用ください。
境内詳細マップ
【1】拝殿
国重要文化財。寛文4年(1664)徳川家綱公により再建。当神社は三輪山をご神体とするために本殿がなく、拝殿を通して三輪山を拝む原初の神まつりの姿を留める。
【2】三つ鳥居
国重要文化財。神の山・三輪山と拝殿を区切る場所に立つ。本殿にかわるものとして神聖視されてきた。拝観は参集殿で申し込みを。(祭典及び神社諸行事にて拝観いただけない場合がございます。)
【3】祈祷殿・儀式殿・参集殿
平成九年に竣功した檜を用いた木造の社殿。日々の祈祷や結婚式を奉仕。
【4】巳の神杉(みのかみすぎ)
【5】神宝神社(かんだからじんじゃ)
熊野三山の神々をまつる。神社名の通り、古くよりお宝・財物を守護する神として信仰されている。
【6】天皇社(てんのうしゃ)
三輪山の麓に都をおかれた第十代の崇神(すじん)天皇をまつる。日本の国の姿をととのえられた天皇で、三輪の神様を丁重におまつりされた。
【7】成願稲荷神社(じょうがんいなりじんじゃ)
稲荷の神様をまつり、商売繁盛・心願成就の霊験あらたか。
【8】祓戸神社(はらえどじんじゃ)
体と心を祓い清めてくださる祓戸の神様をまつる。神社に参拝の時は先ずここにお参りを。
【9】夫婦岩(めおといわ)
三輪の神と人間の女性の恋物語を伝える二つの岩が夫婦のように寄り添う。縁結び・夫婦円満のご利益がある。
【10】衣掛杉(ころもがけのすぎ)
僧の玄賓(げんぴん)が三輪の神様の化身の里女に与えた衣が懸かっていたと謡曲「三輪」でうたわれた伝説の杉。株だけが保存されている。
【11】宝物収蔵庫
三輪山麓出土の祭祀さいし考古遺物やご神像などの伝世のご神宝類、貴重な奉納品を収蔵し展示。毎月1日・土曜・日曜・祝日開館。
【12】ささゆり園
神社にゆかりの御神花ささゆりが咲きほこる。5月下旬~6月上旬が見頃。
【13】くすり道
薬の神様・狭井神社への参道で薬業関係者奉納の薬木・薬草が植えられている。
【14】活日神社(いくひじんじゃ)
崇神天皇に召され、三輪の神様にお供えする酒を造った高橋活日命をまつる。杜氏の祖先神として酒造関係者からの信仰が篤い。
【15】磐座神社(いわくらじんじゃ)
社殿がなく、神の鎮まる頑固な岩(磐座)をご神座として少彦名神(すくなひこなのかみ)をまつる。少彦名神「神農さん」とも呼ばれる薬の神様。
【16】市杵島姫神社(いちきしまひめじんじゃ)
九州の宗像の神様、市杵島姫命をまつる。海の神、水の神であり、芸能をつかさどる弁天さんとしても親しまれている。
【17】狭井神社 (さいじんじゃ)
三輪の神様の荒魂(あらみたま)をまつる神社。力強いご神威から病気平癒の神様として信仰が篤い。4月18日の鎮花祭上古からの由緒をもち、薬まつりとして知られる。
【18】薬井戸 (くすりいど)
万病に効くという薬水が湧き出る井戸。「ご神水」として水を汲みに来られる方があとをたたない。
【19】三輪山登拝口
神体の三輪山へは特別に登拝が許可されている。狭井神社で申し込み、約束事を守って、 敬虔な心で入山しよう。
【20】大美和の杜展望台
三輪山の秀麗な姿、大和三山や二上山を眺望する絶景の場所。春には彼岸・ソメイヨシノ、枝垂桜が咲きほこる。
【21】久延彦神社 (くえひこじんじゃ)
久延毘古命は『古事記』に世の中の事をことごとく知っている智恵の神様と記される。受験合格・学業向上の霊験あらたか。
【22】大直禰子神社(おおたたねこじんじゃ)
国重要文化財。三輪の大神様のご子孫の大直禰子命(若宮様)をまつる。明治以前は大御輪寺(だいごりんじ)として、若宮神と十一面観音像(国宝・現在聖林寺奉安)があわせてまつられていた。
【23】檜原神社(ひばらじんじゃ)
祭神 天照大御神(あまてらすおおみかみ)
社祭日 8月28日
この地は、崇神天皇の御代、宮中よりはじめて、天照大御神を豊鍬入姫命(とよすきいりひめのみこと)に託されてお遷しになり、「磯城神籬(しきひもろぎ)」を立て、お祀りされた「倭笠縫邑(やまとかさぬいのむら)」であります。
大御神のご遷幸の後も、その御蹟を尊崇し、檜原神社として、引き続きお祀りし、「元伊勢(もといせ)」と今に伝えられています。
境内には、昭和61年11月5日、豊鍬入姫命を祀る豊鍬入姫宮(とよすきいりひめのみや)が鎮斎されました。
万葉集等に「三輪の檜原」と数多く詠まれ、山の辺の道の歌枕ともなり、西につづく檜原台地は、大和国中を一望する絶好の地であります。
【24】率川神社(いさがわじんじゃ)
祭神
媛蹈韛五十鈴姫命(ひめたたらいすずひめのみこと)※中殿
狭井大神(さいのおおかみ)※向かって左殿
玉櫛姫命(たまくしひめのみこと)※向かって右殿
例祭日 6月17日
率川神社は、推古天皇元年(593)大三輪君白堤(しらつつみ)が、勅命によってお祀りしたとされる古社で、延喜式神名帳に率川坐大神御子神社(三座)と記されています。 中殿の姫神をはさんで、左右の御殿には御父神と御母神が、まるで姫神を擁護するように鎮座するので子守明神(こもりみょうじん)と呼ばれ、地名の本子守町(ほんこもりちょう)もこのことより起こっています。 安産・育児・息災延命の神として、広く信仰されています。(社殿は県指定文化財)
■奈良交通市内循環本子守町バス停前
■近鉄奈良駅より徒歩7分
■JR奈良駅より徒歩7分
【25】綱越神社(つなこしじんじゃ)
祭神 祓戸大神(はらえどのおおかみ)
例祭日 7月31日
大鳥居の南側、一の鳥居にすすむ参道入口となる三輪の馬場先に鎮座します。古く延喜式神名帳に記載され、すでに貞観元年(859)には、従五位下の神階を贈られている由緒ある古社であります。 往昔から夏越の大祓(なごしのおおはらえ)が、例祭として行われ、社名の綱越は、夏越からの転訛と考えられ、通称「御祓(おんぱら)さん」と呼ばれ親しまれています。
【26】大鳥居(おおとりい)
昭和59年10月13日の、昭和天皇ご親拝を記念、また御在位60年を奉祝して建立され、昭和61年5月28日に竣功しました。
高さ32、2メートル、柱間23メートルの偉容を誇る、日本一の大鳥居です。材質は耐候性鋼板であり、耐久年数1、300年と言われています。
【27】しるしの杉
三輪の大神のあらわれた杉、神の坐す杉とされていました。しるしとは、示現のことで、当初、神杉として信仰されていたすべての杉のことを指していました。この杉も覆屋が作られ、根本だけが残っています。
【28】おだまき杉(緒環杉)
『古事記』にある当社のご祭神と活玉依媛(いくたまよりひめ)との神婚に由来しており、大田田根子命(おおたたねこのみこと)の御誕生を物語る杉であります。
江戸時代には、すでに文献に記載されている名木でありましたが、やがて枯れてしまい現在、根本だけが大切に残されています。
三輪のお朔日詣り
毎月1日、大神神社の社頭は「朔日詣り(ついたちまいり)」をされる方々で賑わいます。 「朔日詣り」は、前の月の神様からの御加護に感謝を申し上げると共に、今月も益々の御加護をいただけることを願うお詣りです。
また1日は午前10時から拝殿において「月次祭(つきなみさい)」(参列自由)が斎行される他、拝殿向かって左手テントでは、ご神木である「お杉」(1本200円)が授与されています。
また自動車お祓所(二の鳥居向かって右)では、毎月1日限定(※1月を除く)で「ついたち朝市」が催されています。朝市には農家の方々からなる大神神社崇敬組織「豊年講(ほうねんこう)」の皆さんが丹精を込めて育てた野菜やお花などがズラリと並び、採れたての新鮮な野菜などが安価で購入出来るとたいへん人気で、朔日詣りのお楽しみの1つとなっています。
是非ともお誘い合わせの上、毎月1日の「お朔日詣り」にご参加されることをお勧めいたします。
1月祭典日程表
鎹八咫烏 記
続く・・・
協力(順不同・敬称略)
大和国一之宮三輪明神 大神神社
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