第36回斎王まつりが6月に開幕との記事を拝見しました!前回の記事は当サイト運営責任者であり、同時に明和町観光大使の肩書をもつ編集長由縁濃きお伊勢様をお護りする明和町最大の恒例行事だったのですね?
そこで、あの美しい斎王装束に魅入っている内、この私めも何やら異次元に入り込み、一言寿ぎたくなりました。
斎王とお供の女官達の十二単衣が雅びて華かな美しさ圧巻の絵巻です。それを取り巻く神官達のお役目も荘厳さを引き立て愈々ドラマチックな舞台へと盛り上げていました。 いいですね〜
思い返すと、あのブームになった韓国ドラマが楽しかったのはやはり、半分は宮廷に仕える女官たちの衣裳の美しさにあったようなことが彷彿としてきた次第です。
それにしても、斎宮の広大なこと!これにもびっくりです。
お祭りといえば、何処も男性中心の、荒々しく騒々しく賑やかさが売りものですが、此処斎宮のお祭りは何一つ物音が聞こえない、露店市も立たない様な、立てようにも広すぎて格好付かないし…何処に立てて良いのか分からないし…寅さんみたいなテキやは凡そ不似合いな……変わったお祭りですね〜
さて、ここは飽くまでも、聖なる女性達の粛々たる御神事です。やはり、女性としての見所はなんといっても衣裳較べですよね?
古代日本の衣裳は多分に、半島や中国の影響を受けているとは言え、衣裳の集合体としてみれば、日中韓のお国柄を比較すると、受けるイメージにはやはり大きな差が感じられて興味深いものがあります。では、その独断的偏見論を軽く述べてみましょう。
〜日中韓にみる古代トップレディの装束にみる色彩表現〜
◉古代中国におけるトップレディ達に共通する大原則
古代から中国は長い歴史を通じて部族内の内乱や部族間の抗争のみならず、他国からの侵略を受け、征服王朝への交替も繰り返されてきました。そして、その都度、半分はしきたりが踏襲されるものの、皇位に就いた部族の文化が運ばれできますから、一貫したスタイルは語れません。
私達が知っているのは断片的なある時代の、それも遺跡等から、発掘されたものや、博物館に収蔵されたものを通して類推するだけですが、最高権力者である、各時代の皇帝はおしなべて庶民との格差は、所謂中華思想と謂われるように、漢族中心圏外は全て蛮族と見做していたのですから、推して知るべし。国王と貴族、高官等の衣服はその侭、身分格差を現していた筈です。
例え征服王朝に交替した時代でさえ、共通項が存在します。
装束、衣裳を一見するだけで、身分が的確に判断できるものでした。
"翟衣(テキイ)"と言う言葉がありますが、その意味は、雉が美しい色の羽根を上下させるとき、目立って麗しく見える様に譬えた表現です。 それこそが、王妃としての最高位身分を表す、礼服制度となりました。
ーー翟衣制度汉唐宋明相承沿袭,一直沿用到明代灭亡。清朝废除汉族衣冠,翟服也全部被废除 一ー
この意味は、漢、唐代から伝わる翟衣制度は、宋、明代迄受け継がれますが、明代末で変わり、清代に入って漢代の伝統は全て一掃されました。
その"翟衣"とは手間暇を掛けた多様で深い染色生地に金糸銀糸等をふんだんに用いたり、錦織、刺繍、縁飾り等で華麗さを出したり、加えて豪華な細工を施した冠や金、銀、宝石など或いは贅沢な装身具で身分の高さと権威を象徴する紋様等で、威厳性を演出しました。
清朝最後のプリンセス。
◉古代朝鮮王族衣裳の華やかさ
古代朝鮮貴族の衣裳は平民とは全く異なるもので、歴史的に中韓国の間には歴史的に册封体制が続いており、多分に古代中国官制に則り、身分階級の違いを際立たせた特別な様式を演出したものです。
韓国女性の伝統的民族服は
上着のチョゴリ(襦)部分と、巻スカートのチマ(裳)によって構成されます。
仮面劇 (タルチュウム)に使われたチマチョゴリの配色。(筆者撮影)
チマチョゴリに用いられる色彩は中国に起源を持つ、陰陽五行説に基づいた宇宙観=木,火,土,金,水 (色は順に➡靑,赤,黃,白,黒(紫が代替色)に対応する概念色)で、この5色を正色と位置づけ、五方色と呼びます。この正色に対して中間色となる色を五間色 (紫,紅,碧,緑,硫黄)と呼んでいます。
( 大人の韓国 +han 引用)
朝鮮通信使ユネスコ世界記憶遺産登録記念。対馬で行なわれた祭典の中の記念写真に見る陰陽五行説に基づいた見事な配列。
風土環境による培われた感性ではなく、根源は古代インド哲学のアーユルベーダにあるようです。
現代でも好まれている透明感の高い原色で、シルクロード諸国のバザールなどでも、見受けられる鮮やかな彩りに満ちています。伝統のチマチョゴリでは上着とスカート部分に対比色調を使うなど日本ではなかなか、勇気を要する配色です。
済州島で拝見したチマチョゴリ花嫁衣裳(筆者撮影)
チマチョゴリ用の生地 ソウルの卸市場にて 鮮やかな原色溢れる生地の束。(筆者撮影)
◉日本独自の配色は襲の色目とグラデーションにあり
それに対して古代日本では、特に平安時代にみる貴族女性の装束にみる配色の特徴は、鮮やかな染色を好みながらもグラデーション(階調)という手法を活かし、飽くまでも自然共生型配色とでも呼びたいものですが、飛鳥、奈良、京都等の背景となる繊細で多様な植生、草花等の環境から培われ、磨かれた感性が自然の土地環境に調和した色使いに固有の優雅さを十二単装束を通じて見る事が出来ます。
これらの見事な女性貴族たちの神事は、この斎王制度が始まった1千数百年前から最近までは一般の平民たちが眼にする機会さえなかったものです。
日本でも陰陽五行色では靑、赤、黃、白、黒を用いますが、各色名の中央値が若干ズレるところが、印象的にかなりの相違感を生じ、それこそが民族の異なる感性を表すものと、大変興味深く感じる点です。特に日本の青はコバルト色ですが、韓国では明るい碧に近づいた色が尊ばれるようです。また、赤に関しては日本の場合、中央値は朱色に近づき、韓国では韓紅(からくれない)と名付けられた、一切の黄色味を排除した鮮やかな真紅なのです。それらの違いは、やはり、日韓はお隣同士と言えども、歴史的に日本は海を隔てた島国、温暖湿潤気候という風土環境から学んだ日本独特の感性なのではと思います。 実際、ほとんどの色名は、環境の色から命名されました。例えば桜色、藤色、紅葉、茶色、空色、鶯色・・・の如くです。
十和田駒 桜
七尾市紅葉
新潟北方文化博物館の見事な藤棚
虎渓山永保寺 夢想国師作庭の臥龍池またの名を心字池。池に架かる橋は無際橋。
風が渡り水面に映る木造の橋と紅葉が揺れる様は、大変に風情がある。
虎渓山永保寺開山堂 樹齢およそ700年といわれる大銀杏
宮城県上岳 ツツジ
山形県 紅花畑
御朱印帳川越氷川神社
中国・朝鮮半島~沖ノ島~大和経路図
熊野古道 発心門王子
京都伏見稲荷大社 千本鳥居
犬山国宝茶室「如庵」
鎌倉時代・13世紀
紙本着色
20.9x79.2
1幅
重要文化財
『源氏物語』の作者・紫式部が宮中での営みをつづった『紫式部日記』を描いた作品。現在、二十数段が現存し、各所に分蔵されています。この断簡ももとは巻子であったが、昭和8年(1933)、益田鈍翁(ますだどんのう)が絵巻を分け、現在の掛幅装となりました。
鎌倉時代王朝物語絵の代表作です。東京国立博物館 所蔵
それに比して朝鮮半島は北部が亜寒帯、中部以南が温帯ではあっても、古代から長い歴史を通じて政争に巻き込まれ、その都度、中国、満州国、モンゴル果てはシルクロード諸国からの影響を受けており、衣服装飾関係では明らかに、高麗時代には相互の融合文化が存在しました。即ち、陰陽五行説は中国からの影響、そして色彩感覚的にはシルクロード、オアシス都市にみる共通した高彩度の色使いです。それらは高麗時代のモンゴルの影響下にあったことに由来しているのではと考えます。実際、前掲の仮面劇や韓国の伝統的花嫁化粧法に見られる頬と額に付けられた赤い日の丸化粧(ヨンジコンジ)は高麗時代におけるモンゴルの風俗だったのですから。
明和町の斎王祭りを通して
寄稿文
日原もとこ(色紐子)
東北芸術工科大学名誉教授/風土・色彩文化研究所主宰/まんだら塾 塾長
日本デザイン学会名誉会員/日本インテリ学会名誉会員
協力(順不同・敬称略)
三重県 明和町役場 〒515-0332 三重県多気郡明和町大字馬之上945 電話:0596-52-7111
(一社)対馬観光物産協会 〒817-0021 長崎県対馬市厳原町今屋敷672番地1
観光情報館ふれあい処つしま TEL 0920-52-1566
犬山市観光協会〒484-0086 愛知県犬山市松本町4-21電話:0568-61-2825
虎渓山永保寺 〒507-0014 岐阜県多治見市虎渓山町1丁目40電話: 0572-22-0351
伏見稲荷大社〒612-0882 京都府京都市伏見区深草藪之内町68電話:075-641-7331
川越氷川神社〒350-0052 埼玉県川越市宮下町2丁目11−3電話: 049-224-0589
公益財団法人 新潟観光コンベンション協会
〒951-8062 新潟市中央区西堀前通6番町894-1西堀6番館ビル4F
TEL. 025-223-8181
公益社団法人石川県観光連盟〒920-8580 石川県金沢市鞍月1丁目1番地
電話 076-201-8110
熊野三山協議会〒647-8555和歌山県新宮市春日1-1 新宮市役所商工観光課内
TEL: 0735-23-3333
大分県庁〒870-8501 大分市大手町3丁目1番1号 電話:097-536-1111
宮崎県庁 〒880-8501 宮崎県宮崎市橘通東2丁目10番1号電話:0985-26-7290
文化庁 〒100-8959東京都千代田区霞が関3丁目2番2号電話番号(代表)03(5253)4111
国土交通省 〒100−8918 東京都千代田区霞が関2-1-3 (代表電話) 03-5253-8111
鎹八咫烏
補足資料(お問い合わせが相次いでおりますので、行き方などの必要資料です。)
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