ユネスコエコパークへの推薦決定について
ユネスコが実施する生物圏保存地域*(国内呼称:ユネスコエコパーク)に関して、日本ユネスコ国内委員会自然科学小委員会人間と生物圏(MAB)計画分科会において、「みなかみ」(群馬県、新潟県)及び「祖母(そぼ)・傾(かたむき)・大崩(おおくえ)」(大分県、宮崎県)を、ユネスコに推薦することを決定しました。
今後、日本ユネスコ国内委員会を通じてユネスコに推薦書を提出し、2017(平成29)年5~7月にユネスコ本部で開催されるユネスコMAB計画国際調整理事会において、登録の可否が決定される予定です。
* 英名:Biosphere Reserves (BR)
(同時発表:農林水産省、環境省)
ユネスコエコパークの概要、今後のスケジュール及び今回推薦の対象となる地域の概要等は、以下のとおりです。
1.概要
ユネスコエコパーク※(生物圏保存地域、英名:BR: Biosphere Reserves)は、生物多様性の保全、持続可能な開発、学術研究支援を目的として、1976年(昭和51年)にユネスコが開始。ユネスコの自然科学セクターで実施されるユネスコ人間と生物圏(MAB: Man and the Biosphere)計画における一事業として実施。
「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約」に基づく世界遺産が、手つかずの自然を守ることを原則とする一方、ユネスコエコパークは、生態系の保全と持続可能な利活用の調和(自然と人間社会の共生)が目的。「保全機能」、「経済と社会の発展」、「学術的支援」の三つの機能をもつ地域を登録。そのため、ユネスコエコパークは、「核心地域」、「緩衝地域」と共に、「移行地域」(地域社会や経済発展が図られる地域)を設置。
登録総数は、120か国、669地域(2016年(平成28年)3月現在)。
※ユネスコエコパークは我が国の国内呼称。
2.期待される効果
ユネスコエコパークの登録地は、ユネスコエコパーク世界ネットワークに登録。
ユネスコという国際機関からの世界的な評価を受けることにより、自然環境の保全や自然と人間社会との共生に関する地域の取組を、国際的にも発信し、ネットワークを通じて情報の共有化が図られることや、それにより当該取組がより一層推進されることを期待。
また、地域における持続可能な発展に関する学習の場としての活用、自然環境の保全や持続可能な資源の利活用に関する普及啓発、持続可能な社会の構築のための人材育成への貢献を期待。
3.我が国のユネスコエコパーク
・綾(宮崎県) 2012年登録
・大台ヶ原・大峯山・大杉谷(奈良県、三重県) 1980年登録、2016年拡張登録*
・志賀高原(長野県、群馬県) 1980年登録
・只見(福島県) 2014年登録
・白山(富山県、石川県、福井県、岐阜県) 1980年登録、2016年拡張登録
・南アルプス(山梨県、長野県、静岡県) 2014年登録
・屋久島・口永良部島(鹿児島県) 1980年登録、2016年拡張登録
*「拡張登録」とは、1995(平成7)年にユネスコエコパークの機能として、「経済と社会の発展」が追加されたため、それ以前に登録されたユネスコエコパークについて、その機能を果たす「移行地域」を追加するもの。
4.今回の推薦決定地域 「みなかみ」及び「祖母・傾・大崩」 5.今後のスケジュール(予定)
2016(平成28)年9月 日本ユネスコ国内委員会を通じてユネスコに推薦書を提出
2017(平成29)年5~7月 ユネスコMAB計画国際調整理事会(於:ユネスコ本部)にて登録の可否が決定
新規推薦地「みなかみ」の概要について
1.名称:
みなかみ生物圏保存地域 (みなかみユネスコエコパーク)
2.構成自治体:
【群馬県】みなかみ町
【新潟県】魚沼市 うおぬまし 、南魚沼市 みなみうおぬまし 、湯沢町 ゆざわまち
3.特徴等:
○特徴
群馬県の最北端に位置するみなかみ町全域を中心に隣接する新潟県(魚沼市、南魚沼市、
湯沢町)の一部で構成されており、日本を代表する大河川である利根川の最上流域に位置
し、人口・経済において世界最大規模である東京都市圏の約8割、3,000 万人の生命とく
らしを支える水の最初の一滴を生み出している。
群馬県と新潟県の境界の山稜一帯は、太平洋側と日本海側の大気がぶつかる日本の脊梁
山脈、すなわち中央分水嶺となっており、世界でも有数の豪雪地帯となっている。山岳地
域では、冬期の大量の積雪の影響などにより、急峻な岩壁や露岩地に加え、雪食凹地、氾
濫原、河岸段丘など特徴的な地形や、周氷河地形などの豪雪地特有の地形を形成している。
また、標高 2,000m に満たない地域にもかかわらず氷河の痕跡も確認されている。これらの
特殊な地形・地質や、日本海側と太平洋側の気候条件の移行帯であることなどに起因し、
多様で希少な動植物が育まれ、独特の生態系が見られるなどの特徴を有している。
○面積 総 面 積 91,368ha ・核心地域 9,123ha ・緩衝地域 60,421ha ・移行地域 21,824ha
※ 核心地域と緩衝地域は、上信越高原国立公園や利根川源流部自然環境保全地域、利根 川源流部・燧ヶ岳周辺森林生態系保護地域や緑の回廊三国線等に指定されており、適切 な保護・保全が図られている。
※ 移行地域には、自然と人の暮らしの中から生まれた、里地・里山の農村景観が広がり、 歴史や伝統、農村文化が今なお息づいている。また、豊富に湧出する温泉や雄大な自然 を資源とした観光産業が営まれており、人と自然が共生していくため、豊かな自然を「ま もり、いかし、ひろめる」取組が進められている。
協力
文部科学省
〒100-8959 東京都千代田区霞が関三丁目2番2号
電話番号:03-5253-4111(代表) 050-3772-4111 (IP 電話代表)
経済産業省
〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1
代表電話 03-3501-1511
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