飛騨高山の町の「食べ歩き」や「町屋見学」は高山観光の目玉企画として大変好評です。何度訪ねても旅人たちを優しくむかえ入れ、町と人の優しさと温もりを感じさせてくれます。時を忘れていつまでも滞在したい町の一つです。古い町並みや紅がら(近江では「べんがら」と呼ぶ)格子、小さな酒場の暖簾や赤い提灯、水道が凍るような凍てつく夜もあるけれど、私は冬の高山の夜が大好きです。歴史情緒溢れるこの街並みも、冬になると雪で白く染まり、重厚な町屋造りの建物とのコントラストが映えより綺麗ですよ。
冬しか体験できない「酒蔵見学」や「提灯ライトアップ」も必見です! 鎹八咫烏記
しいの実の「高山の夜」で赤い中橋 宮川も~と唄われた中橋の赤い欄干に白く降り積もる雪。昔は、大勢が協力して雪解けの雪を車の荷台から川にめがけて投げおろしたものである。(今は禁止されているのでは?)春と秋の高山祭の屋台が赤い中橋を通る姿は煌びやかで目にまぶしく映る。
「春の高山祭」屋台が赤い中橋を渡りきる時、橋の両側に咲く満開の桜の花が迎えてくれる
白川郷の上流に位置する、高山市内近郊の「荘川の里」茅葺の屋根が雪にすっぽりと埋もれている飛騨高山の奥座敷。高山に来られた折には是非訪ねてみて下さい。もうじき荘川に桜が咲きます。
奥山に遅い春を告げる荘川桜
昔話の世界に迷い込んでしまったかのようなステキな眺めが見れるのが天守閣展望台。俯瞰で眺める合掌集落は、一軒一軒が窓からこぼれる明かりが広がり、本物のおとぎ話の世界に迷い込んでしまったよう。白い雪に落ちる温かい窓明かりと屋根をすっぽり覆う雪の世界をお楽しみ下さい
山も、木も、畑も、茅葺の屋根も、漂う空気までも雪で覆われているかのような
白銀の「世界遺産」白川郷。丁度、明治神宮で土俵入りを奉納した19年振りの
日本人横綱「稀勢の里」の雲龍型の土俵入りを彷彿とさせる白川郷の家並み
このような氷点下の世界で最盛期を迎えているのが、飛騨高山の寒ざらしで作業を行なう「飛騨染」である。ここからは、飛騨高山の伝統の「飛騨染」を紹介いたします。
飛騨染めはもち米で作った糊で下絵を描いた後、呉汁と呼ばれる大豆の搾り汁で溶いた顔料(岩絵具)を使って彩色します。もち糊には防染、呉汁には絵具を布地に定着させる働きがあり、鮮やかではっきりとした絵柄の染めが変色しないまま何十年と持ちます。さらに彩色した布地を真冬に屋外で寒ざらしにすることで発色が鮮やかになり、より美しい柄が再現できます。夏は30度の室内。冬は-10度の屋外と大変な環境ですが、日本古来の製法と自然が作り出す作用によって百年以上前から受け継がれてきた信頼の品質が生まれます。
寒風が吹きさらし、凍てつくような空気の中、手が悴む中での素手での作業
高山市越後町の「ゆはら染工 越後工場」にて
慶応元年から代々受け継がれてきた大切な型紙
高山観光の目玉と言えば、日本三大美祭にも数えられる高山祭。毎年たくさんの見学者が訪れるこの祭、絢爛豪華な屋台が有名ですが他にも見どころはたくさんあります。その中でも「カンカコカン」のリズムで親しまれる舞、闘鶏楽(とうけいらく)は地元の人間ならリズムを聞くだけで祭り気分になってワクワクするという目玉の一つ。そんな闘鶏楽の鮮やかな衣装に代表されるゆはら染工さんの伝統工芸「飛騨染」です。
工房一面に広がる布には鮮やかな鳳凰と龍の図が
高山の中心街から車で10分ほど。伝統工芸や特産品などの工房が集まる越後町地域に飛騨染ゆはら染工の工房はあります。裏手の工房に回り、扉をくぐると圧巻。部屋一面に広がる鮮やかな絵柄の描かれた布。闘鶏楽の衣装に描かれる龍と鳳凰図です。
大豆の汁を混ぜた顔料で彩色する飛騨染は発色の美しさと持ちがいいのが特徴
「(絵の具が温度に敏感なので)常温でないとダメなんです。風も、あまり吹くと揺れて絵が描けなくなるからダメなんです」
「祭衣装は破れたり痛んだりするので消耗品ですが、染め自体はとても長持ちするものなんです。しっかり染めた顔料は変色しません。50年くらいもつんです」
八幡神社の八の字が入った闘鶏楽の衣装
工房を見渡すと絵付けの元になる型紙が置かれた一角が。ゆはら染工には飛騨地方の神社400社以上から依頼があり、その一社一社の法被や獅子舞、のぼり旗などの型紙を保管しています。「神社によって祭の作法が違うので型紙も千差万別。八幡神社で舞われる闘鶏楽の衣装なので鳩のマークで“八の字”が入っている」
ご主人の4代目柚原博明さんと伝統の担い手5代目の雅樹さん
毎年春と秋の祭の時期はてんてこ舞い!衣装の修復や納品などで立て込みます「ギリギリになって依頼してくる神社もあるので大変です。いざ祭の準備を始めたら衣装が痛んでいた!なんて依頼もあります」150年も紺屋をやっているゆはら染工への信頼は大きく、まるで神社の駆け込み寺。大変だけど守っていかなければいけない伝統、今は息子さんが5代目を継ぎ、ご主人と共に染めの作業をしています。
高山祭の鮮やかな祭衣装
毎年多くの観光客が訪れる高山祭。屋台の見学はもちろんですが、こうした飛騨の伝統工芸に支えられる祭舞踊も本当に必見です!「カンカコカン」の闘鶏楽に迫力圧巻の獅子舞も。高山祭の衣装やのぼりは全てゆらは染工のもの。皆様も高山祭を見学される際はぜひ色鮮やかな祭衣装に注目してみてください。
宮川朝市を見学しているとゆはら染工の直営ショップがあります。お土産用にアレンジされた祭衣装の他、飛騨の食べ物屋さんなどで見かける赤カブの暖簾や小物など手軽にお買い求めいただけるグッズが揃っています。
宮川朝市ショップ:岐阜県高山市下三之町86(高山駅から徒歩約11分)
(暖簾や手ぬぐいは飛騨物産館でも販売しております)
飛騨高山温泉
高山グリーンホテル
平成03年 天皇皇后両陛下 行幸啓の栄を賜わる
四季を感じる、自家源泉「天領の湯」数々の天然温泉風呂
「高山グリーンホテル」の天然温泉「天領の湯」には屋内、露天風呂共に数々のタイプの異なる天然温泉風呂が用意され、入浴の人たちの楽しみでもあります。
鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」明和町観光大使
協力(順不同・敬称略)
高山グリーンホテル 飛騨のたばる箱
〒506-0031 岐阜県高山市西之一色町2-180 TEL 0577-33-5500
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