文部科学省では、国民の皆様が科学技術に触れる機会を増やし、科学技術に関する知識を適切に捉えて柔軟に活用いただくことを目的として、「一家に1枚」ポスターを発行しています。
このたび、科学技術の理解増進施策の一環として、「一家に1枚 生きものすべては細胞から」ポスターを刊行いたしました。
今後、平成29年度(第58回)科学技術週間(平成29年4月17日(月曜日)~23日(日曜日))における配布等を通じ、広く普及を図りたいと思いますので、御協力をお願いいたします。
同ポスターについては、全国の小・中・高等学校等に配布するとともに、配布に御協力いただける全国の科学館、博物館等を通じて、科学技術週間中に広く配布を行う予定です。
http://stw.mext.go.jp/series.html(※科学技術週間Webサイト)
【経緯】
国立大学附置研究所・研究センター、国立研究開発法人、大学共同利用機関法人等から御提案いただいた「一家に1枚」ポスターに係る企画について、「一家に1枚」企画選考委員会における審議結果を踏まえて検討し、今年度は、京都大学iPS細胞研究所から御提案いただいた企画が選定されました。
【解説】「生きものすべては細胞から」
ふだん、意識している方は少ないとは思いますが、私たち人間はもちろん、現在、地球にみられる約3000万種とも言われる多様な生物はみな、細胞を基本に生きています。生物の存在を示す最古の痕跡は、北極近くのグリーンランドで見つかった約38億年前にできた堆積岩に含まれていた炭素とされています。つい最近では、少なくとも37億7000万年前、最も古く見積もると42億8000万年前に生息していたと考えられる微生物の化石が、カナダで見つかったという報告があり、更に生物誕生の歴史が遡る可能性が示されています。しかし、これらの生物の痕跡が見つかっているにもかかわらず、どのようにして生物が誕生したかの謎は、いまだ解明されていません。それでも、約38億年前に生まれた生物は核膜も細胞小器官もない現在の原核生物の細胞のようなものだったと考えられています。そして、この太古の細胞を起源に、現在の地球上の多種多様な生物が生まれ、豊かな自然環境が生み出されました。
ポスターの中に記されていること一つ一つは、教科書で見るような、よく知られたことがほとんどです。しかし、その知識一つ一つも細胞の共通性と多様性というメガネを通してみるとつながっていくのではないでしょうか。生物は細胞を基本単位に生きているという共通性をもちながらとても多様、これがポスターの中で最も伝えたかったことです。御覧いただいたみなさんが、ポスターの内容と暮らしの中での体験などを合わせて考えてみることで、御自身の生命観を豊かにしていただけたらと、私たちは願っています。
2017年は、ヒトiPS細胞作製が発表されてから10年の節目の年になります。iPS細胞技術は、生命科学・医学研究の発展や新たな治療の開発に大きく貢献すると期待される一方、これまでには考えなくて良かった生命倫理の課題も生み出しています。ポスターの監修者は、現在又は過去に京都大学iPS細胞研究所にて、多くの方にiPS細胞を知っていただき、このまだ新しい技術をどのように社会の中で育んでいったらよいのか、倫理的課題も含めて一緒に考えるための取り組みを行ってきました。その中で、iPS細胞について理解していただくためには、まず細胞について知っていただくことが大切ではないかとの思いが今回のポスター制作につながっています。
『一家に1枚』シリーズについて
(1)基本的コンセプト 「一家に1枚」シリーズの基本的なコンセプトとして、次のようなものを狙っています。 大人から子供まで部分的にでも興味を持たせるもの 見た目がきれいで、部屋に貼っておきたくなるもの 基礎的・普遍的な科学知識を中心とするもの 身近な物や事象との関連付けをして、親しみをもてるもの
(2)取扱について
この『一家に1枚』シリーズポスターは、多くの方に科学に親しんでいただく機会を提供することを目的に配布しています。
ホームページからダウンロードしたPDF版は、個人で使用する場合や無償配布する場合には、自由にご利用ください。
ただし、ポスター自体に改変等を加えたり、個々の元素やゲノム、天体等を切出しての使用はできません。
原データを用いて大量に印刷して無償配布する場合や、有償配布する場合には、それぞれ別途手続きが必要です。
個々の元素やゲノム等を単独で使用するなど部分的に使用する場合には、それぞれ原著作者の許可が必要です。
(3) 翻訳について
『一家に1枚』シリーズポスターを外国語に翻訳する場合には、以下の点について了解のうえで、手続きが必要です。
全体について単純な翻訳のみを行い、イラスト等には改変を加えない。
個々の元素やゲノム、天体等を単独で使用したり、部分的な使用をしない。
印刷物には科学技術週間ホームページのURLを含め、出典を明示する。
翻訳に関する責任の所在を明示する。
印刷物は、無償配布する。
可能な限り公的機関等のホームページ上に掲載し、科学技術週間ホームページから翻訳版としてリンクできるようにする。
掲載可能なホームページがない場合には、科学技術週間ホームページにダウンロード用データを提供する。
○「一家に1枚」企画選考委員会 選考委員 (五十音順・敬称略)
荒木 美菜子 埼玉県立川越女子高等学校 教諭
石井 雅幸 大妻女子大学家政学部児童学科 准教授
古谷 純 株式会社日立製作所 研究開発グループ 東京社会イノベーション協創センタ 主管デザイナー 兼 地方創生プロジェクトリーダ
森 裕美子 理科ハウス館長
森田 由子 日本科学未来館 科学コミュニケーション専門主任
また、制作に当たっては、下記の方々及び各機関に御協力いただきました。
<企画>
京都大学iPS細胞研究所
<制作・監修>
中内彩香(京都大学iPS細胞研究所)、遠山真理(総合地球環境学研究所)、野口悦(大阪大学大学院医学系研究科)、川上雅弘(奈良先端科学技術大学院大学)
<画像提供>
Web HISTOLOGY、北里大学 北里生命科学研究所、京都大学教授 山中伸弥、国立研究開発法人国立環境研究所 岩崎一弘、千葉大学真菌医学研究センター、理研バイオリソースセンター 岡田元
<編集・デザイン・イラスト>
サイテック・コミュニケーションズ、藤原有紀子
協力
文部科学省 〒100-8959 東京都千代田区霞が関三丁目2番2号
電話番号:03-5253-4111(代表) 050-3772-4111
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