2016年11月に大阪府が「『2025日本万国博覧会』基本構想(府案)」
をとりまとめたことを受け、同年12月、経済産業省は経済界代表や各界の有
識者、地方自治体の代表者等で構成される「2025年国際博覧会検討会」を
設置し、我が国が2025年国際博覧会の開催国に立候補する判断を行うにあ
たって必要な事項について検討を重ねてきた。
本報告書は、これまでの議論の内容を整理し、検討会としての2025年国
際博覧会の基本的な方向性を示すものである。第1部では、2025年国際博
覧会の開催意義や基本理念等を整理し、第2部では開催場所や開催期間、会場・
インフラ整備の考え方や経済波及効果等について、基本構想の段階で必要とな
る検証の結果と、今後必要な検討課題(例:「夢洲まちづくり構想(案)」、会場
計画及び関連基盤整備計画、輸送計画などの具体化)を整理している。
21世紀に入ってからの国際博覧会は、産業発展や技術革新の成果を披露す
る場としての役割に加え、人類共通の課題解決を提言する場としての役割も求
められるようになった。こうした中、2025年国際博覧会を日本で開催する
場合、我々はどのような国際博覧会を主催し、世界に対して何を発信し、何を
残すべきか。
人類が直面する自然災害・食料不足・病・暴力等の様々な生存リスク、グロ
ーバル化や情報化等の世界的な現象、さらに生命のあり方や人間の生き方を根
本的に問い直しうる人工知能(AI)やバイオテクノロジー等の新技術の発展
を踏まえ、我が国は未来社会における「人間の幸福な生き方」と「それを支え
る社会・経済システムの未来像」をテーマの中心にすえ、世界各国のパビリオ
ンとともに、様々な議論を生み出す発信の場をつくるべきではないか。
インド独立の父であるマハトマ・ガンディーは「見たいと思う世界の変化に、
あなた自身がなりなさい」と述べた。その言葉のとおり、彼は小さな力を結集
し、大きな変化をもたらした。人類が望む未来の生き方や社会とはどのような
姿であるかを我々自身にあらためて問いかけ、その未来社会の実現に向けて市
民一人一人が問題意識を持って将来に向けた行動を起こすことを促す場をつく
ることを通じ、人類の持続可能な発展に寄与すべく、我が国が2025年国際
博覧会の開催国として速やかに立候補することを期待する。
開催意義 「未来社会を考える上で鍵となる要素(科学・技術力、利他精神、アニメ等の文化)が揃っていること」「アクセス等の利便性や治安が世界最高レベルであること」「参加主体が自由に発想を発信しやすい場を提供できること」「自然災害を乗り越え、自然と共生した持続可能な社会を提示できること」など、日本/関西・大阪は世界における未来社会の実験場として、新たなアイデアを実践して世界のイノベーションを加速させる場にすることができる。
基本理念(骨子)
人類が直面する、災害・食料不足・病気・暴力といった生存リスク、グローバル化や情報化に伴う競争激化・格差・対立、人工知能やバイオテクノロジーなど生き方を問い直す技術の発展などの事象は、人類に「幸福な生き方」とは何かを問いかけている。この問いかけに対し、好奇心を刺激することで、一人一人がポテンシャルを発揮しながら真の豊かさを感じられる生き方、それを可能にする経済・社会の未来像を参加者全員で共創する場とする。
テーマ・サブテーマ (提案)
テーマ:いのち輝く未来社会のデザイン
サブテーマ:多様で心身ともに健康な生き方
持続可能な社会・経済システム
2025年国際博覧会実施の方向性
「皆で世界を動かす万博」という理念のもと事業展開を進め、2025年国際博覧会を一時的なイベントに留めることなく、「未来の社会・経済システム」の実現を通じて成果を後世に残せる博覧会にしていく。
また、様々な娯楽やメディアが溢れる中、世界中の人々、企業、国等が参画したいと思えるよう、好奇心を刺激し魅了する「常識を超えた万博」、「誰もが参画しやすい万博」を目指す。例えば、国際博覧会のコンセプトを実践的に体験できる日本各地のコンテンツとも連携していく。
会場については、人々の交流・憩いの場とするとともに、水辺に隣接している特徴を活かすなど環境との調和等を目指す。
その他の基本事項
開催場所:大阪府大阪市夢洲地区
開催期間:2025年5月3日~11月3日(185日)
入場者規模(想定):約2,800~3,000万人
会場建設費(想定):約1,250億円
経済波及効果(試算値):建設費関連約0.4兆円、運営費関連約0.4兆円、消費支出関連 約1.1兆円
※上記に加え、国際博覧会のコンセプト等に関わる分野の市場伸長、企業の投資拡大など、国際博覧会開催により間接的な誘発効果の発生が想定される。
協力
経済産業省
〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
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