ZIPANG TOKIO 2020「天地創造『国生みの島・淡路』 第一話 沼島(おのころ島)」

わが国最古の歴史書『古事記』の冒頭を飾る「国生み神話」。 この壮大な天地創造の神話の中で最初に誕生する“特別な島”が淡路島である。 その背景には、新たな時代の幕開けを告げる金属器文化をもたらし、 後に塩づくりや巧みな航海術で畿内の王権や都の暮らしを支えた " 海人(あ ま)" と呼ばれる海の民の存在があった。 畿内の前面に浮かぶ瀬戸内最大の島は、 古代国家形成期の中枢を支えた“海人”の歴史を今に伝える島である。




文化庁「日本遺産とは」

我が国の文化財や伝統文化を通じた地域の活性化を図るためには、その歴史的経緯や、地域の風土に根ざした世代を超えて受け継がれている伝承、風習などを踏まえたストーリーの下に有形・無形の文化財をパッケージ化し、これらの活用を図る中で、情報発信や人材育成・伝承、環境整備などの取組を効果的に進めていくことが必要である。

文化庁では、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」として認定し、ストーリーを語る上で不可欠な魅力ある有形・無形の様々な文化財群を総合的に活用する取組を支援する。


ここに紹介する、淡路市、洲本市・南あわじ市が申請したストーリー「『古事記』の冒頭を飾る「国生みの島・淡路」〜古代国家を支えた海人の営み〜」は2016年4月、日本遺産に認定されました。


今回の第一話では、国生みに始まる全ての神功を果たされた伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が、後に余生を過ごされたという住居跡に建てられたのは、神話の中の「おのころ島」だとされる「おのころ島神社」(南あわじにあり第二話で紹介)や今回の第一話で紹介する「沼島(ぬしま)」の「おのころ神社」だとの説もあり島内のあちこちで神話の浪漫が漂っている。(他に絵島、伊弉諾神宮とも・・・)


まず、沼島(おのころ島)とは


勾玉の形をした島【国生みゆかりの地】


沼島 ( ぬしま ) は南あわじ市灘の沖4.6 キロに位置する離島で、 灘 ( なだ ) の 土生港 ( はぶこう ) からの沼島汽船によって結ばれている。はるか昔、神々がつくり出した最初の島「おのころ島」だという伝説が残っている。沼島の「沼」は「国生み神話」の「沼矛」に由来するという説もある。

今もなお自然のままの姿を残し、知られざる海の楽園として、訪れる人を魅了している。東南海岸には見る人を驚かせる岩が多く、「国生み神話」の「天の沼矛」や「天の御柱」のモデルともいわれている「上立神岩」をはじめ、「屏風岩」「あみだバエ」などの勇壮な奇岩が点在している。海域では伝説の魚-沼島女郎-が釣れるかも?

古代の海人族 ( あまぞく ) が本拠地にした島であると伝えられ、戦国時代には沼島水軍が名を馳せました。現在、島民の大部分が漁業に従事しており、年間を通じて沼島漁港に揚がる魚介類の評判は高く、夏場のハモは特に有名である。

沼島の歴史・文化


国生み伝説ゆかりの上立神岩やおのころ神社、漁船のためのかがり火を焚いたという山の大神(火立山)、航海の安全を祈願する沼島八幡神社など、 沼島ならではの歴史と信仰を今に伝えている。島内には県下最古の日本庭園である沼島庭園 や、梶原景時の墓と伝えられる五輪塔が立つ神宮寺、沼島城主代々の居城跡、武嶋城跡の碑を残す蓮光寺など史跡も多くある。


1億年前の地球のしわ


1億年前に出来た地球の「しわ」とされる鞘型褶曲(さやがたしゅうきょく)は、平成6年に発見された珍しい岩石である。引き潮の時にしか見ることができないこの奇岩は、同心同の鞘型の褶曲構造となっており、地殻内部の動きが分かる貴重な資料となっている。このように大きくてはっきりしたものは、沼島の岩石以外ではフランスとカナダの2ケ所で発見されているだけである。


勾玉の形をした島【国生みゆかりの地】


くにうみ神話の島 沼島

沼島汽船発着場がみえる


「古事記」、「日本書紀」の神代巻、いわゆる“記紀神話”によると、天つ神がイザナギの命、イザナミの命の二神に神聖な沼矛(ぬぼこ)を授け、国造 りを命じました。この二神は、まず、天の浮橋に立ち、授かった矛で、混沌とした世界をかき回しました。潮をコオロコオロとかき回し、引き上げた矛の先から、落ち た雫が固まって島となりました。これがオノコロ島である。この島にイザナギ・イザナミの二神が降り立って、夫婦の契りを結び、御柱と宮殿を建て、国土造成を されました。その舞台であるオノコロ島が、沼島となされている。

ただ、このような国生みの舞台としては、沼島のほかに淡路島内で5ヵ所、全国では10ヵ所を超える候補地がある。なかでも沼島が最有力候補地とされている。


おのころ神社 山全体が神体山


自凝神社(おのころじんじゃ)と読む
沼島は、島全体がイザナギ・イザナミによる国土創世の際、「天の沼矛(あめのぬぼこ)」の先から滴り落ちたしずくが凝り固まってできたという「おのころ島」だとされる場所の一つである。おのころ神社は、その沼島の中にあって、イザナギ・イザナミの二神をお祀りしており、地元では、この山全体を「おのころさん」と呼び御神体として大切にしてきました。山上に向かってつづく階段が天に届くかのようにまっすぐに伸びている。



小高い山の上にある「おのころ神社」には、天地創造の神であるイザナギ、イザナミの二神を祀っている。入り口を間違える方が多いので、ご注意を。


上立神岩


高さ約30mの矛先のような形をした岩が沼島のシンボルの上立神岩。国生み神話ゆかりの場所であり、イザナギノミコトとイザナミノミコトがおのころ島に降り立ち、巨大な柱の周囲をまわって婚姻をおこなったという、「天の御柱」だともいわれている。

高さ約30mの矛先のような形をした岩が沼島のシンボルの上立神岩。国生み神話ゆかりの場所であり、イザナギノミコトとイザナミノミコトがおのころ島に降り立ち、巨大な柱の周囲をまわって婚姻をおこなったという、「天の御柱」だともいわれている。


沼島八幡神社


永享8年(1436)梶原俊景が京都石清水八幡宮の分霊を阿万八幡宮を通じて勧請し創建したと伝えられます。かつては水軍の拠点であり、昔から海を生活のより所としてきた沼島の生活をうかがいしれる絵馬13額が掛けられ、全国的にも珍しい逆羅針盤が天井に奉納されている。境内のうしろの森は、ホルトの大木が何本もあり、椿や椎の木、キノクニスゲ等自生している珍しい原生林になっている。


沼島八幡神社5月春祭り


大漁祈願のだんじり唄を歌いながら曳く「曳きだんじり」や担ぐ「かきだんじり」とともに練り歩く。しぶきを上げながら一気に海へと滑り込む曳きだんじりは圧巻!!高々と掲げられる神輿にも注目。



毎年5月3・4日に行われる春祭りは、 沼島水軍を彷彿とさせる勇壮な祭り。祭りが最高潮に達したとき、だんじりが海へ飛び込み、海上安全と豊漁を祈りる。昔はだんじりや神輿が通る道がなく、ほとんど海の中での走行だったため、旧歴5月3、4日の大潮の時に行われていました。


沼島神宮寺


真言宗の寺院で神宮寺は元慶四年(880年)に開基された由緒あるお寺である。宮寺であるのでこの寺の僧が、神官とともに沼島八幡神社の守護にあたりました。梶原氏の菩提寺でもあったので、厨子、紺紙金泥経、曼陀羅など、数々の宝物は梶原氏の寄進と伝えられている。 本堂の裏の傾斜地を利用し、岩盤を生かした「築山式枯山水庭園」は市指定史跡名勝天然記念物である。

梶原五輪石(梶原景時の墓)

梶松香石という特殊な石でつくられている。古くから梶原景時の墓と伝えられており、この塔の造立年代も鎌倉初期のものと見られている。

種子尊勝法華曼荼羅

上半分に尊勝曼荼羅、下半分に法華曼荼羅を種子(梵字)により表したもので、めずらしい作例として、県指定文化財となっている。

紺紙金銀字入大乗論

「入大乗論」はインドの堅意菩薩の作で、中国北京の道泰等が437~439年の頃に訳出した大乗仏教の簡単な概説書のこと。この書は、奥州藤原氏の初代・清衡の発願により書写された一切経、もと5300巻あまりのうちの2巻と考えられる。その多くは桃山時代に高野山に移されたが神宮寺への伝来についてはよくわかっていません。 


沼島庭園


室町時代の10代将軍、足利義稙によって作られたという説が一般的に通っているのですが、作庭手法や歴史的考察から見ると江戸時代初期ではないかという説もある。 


 沼島 五輪搭


松香石という特殊な石でつくられている。古くから梶原景時の墓と伝えられており、この塔の造立年代も鎌倉初期のものとみられている。


平バエ


平バエは竜宮城の天井門と言われ、地元では竜宮伝説も伝えられている。
この辺りには昔から大ウミガメが住んでいると言われている。
伊弉諾と伊弉冉は平バエ岩にて国生みをしたそうですよ。



毎年、旧暦の3月3日に漁師が漁船にて沼島の岩礁「平バエ」を3回まわり、海上安全と大漁を祈願する平バエ祭りが行われる。

昔は神主さん、寺の住職さんと共に平バエへあがり、祝詞とお経をあげ、漁師はお参りの後、その場で御神酒をいただき豊漁を祈りました。

現在では、各区ごとの代表船にその区の大漁旗を集めて飾り立て、勇壮なパレードをして平バエへと向かい、船上にて御神酒をあげ、お参りをする。


絵島


絵島は淡路島の北東に浮かぶ島(沼島とは別の島)で、「国生み神話」に登場する「おのころ島」伝承地の1つとされている。元は陸地に続いていたものが波浪の作用により現在のような島になりました。

平清盛が大輪田の泊を修築した際に、人柱にされようとした人たちを助け、自らが人柱になった松王丸を祀ったといわれる石塔が島の頂上に建っている。

和歌を詠む名所として名高く、『平家物語』の「月見」の巻に「平家が福原の新都に移った当時(1180年)栄華の夢に耽った人々は絵島の月を見ようとして須磨から明石海峡を渡り、絵島の月を愛でながら歌会を催した」との記述が残されています(日没から21時まで)。また、西行法師は、「千鳥なく 絵島の浦に すむ月を 波にうつして 見るこよいかな」(山家集)という歌を詠みました。古くから名勝として人々に親しまれており、その美しさから多くの人々を魅了してきた場所だということがわかる。

現在でも、淡路島の誇る景勝地として知られており、市の名勝に指定されている。夜間には島全体がライトアップされる。島に渡ると、県の郷土記念物に指定されている地質学的に珍しい褐鉄鉱沈殿砂岩層(約二千万年前の砂岩層)に直に触れることができるので、貴重な体験となることでしょう。


淡路島に近づいてきましたので「第一話 おのころ島(沼島)」を終了いたします。
次回は、第二話 淡路島のくにうみ神話です。

                                鎹八咫烏 記


沼島の中心地マップを掲載しましたのでお役立てください。


沼島交通アクセス

神戸淡路鳴門自動車道に西淡三原ICを出て左折、県道31号線(国道28号線と交差後、県道76号線)を真っ直ぐ進むとに沼島気船のりばに到着する。(約35分)
沼島汽船のりばに駐車場があります。※沼島汽船に自動車は積めません。


バス利用の方


鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」明和町観光大使



協力(順不同)

一般社団法人 淡路島観光協会 〒656-0027 兵庫県洲本市港2-43 洲本バスセンター内 
TEL.0799-25-5820

沼島総合観光案内所 よしじん
〒656-0961 兵庫県南あわじ市沼島2400 TEL・FAX 0799-57-0777

文化庁 〒100-8959 東京都千代田区霞が関3丁目2番2号 電話番号(代表) 03(5253)4111


ZIPANG TOKIO 2020

2020年、東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。 この機会に、世界の人々にあまり知られていない日本の精神文化と国土の美しさについて再発見へのお手伝いができればと思います。 風土、四季折々の自然、衣食住文化の美、伝統芸能、行事、風習、ものづくりの技の美等、 サイトを通じて、平和な国、不思議な国、ZIPANG 日本への関心がより深かまるならば、私が密かに望むところです

もしもこのサイトに同じ思いをお持ちの皆様から、素敵な情報や画像をお寄せ戴ければこの上ない喜びです。以下のEメールアドレスへご連絡下さい。

E-mail aromajinja@gmail.com ( ZIPANG 2020 編集部 )。

2020, will be held the Olympic Games and Paralympic in Tokyo.

On this occasion, for the little-known beauty of the spiritual culture and national land of Japan to the people of the world I think that if we help to re-discover.

Climate, nature of the four seasons, of food, clothing and shelter cultural beauty, traditional arts, events, customs, beauty, etc. of the work of making things,

Through the site, peaceful country, a strange country, if the interest is more depth or round to ZIPANG Japan, is where I want secretly.


写真ご協力:高山祭(高山市)/ 富士山(富士市)

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