富士山頂上浅間大社奥宮「久須志神社」正面より関東を望む。森美術館もきっと見える!
世界遺産「富士山と三保の松原」
六本木ヒルズ・森美術館15周年記念展
「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」
古くは縄文時代の住居から、現在進行中のものや未来の計画案を含む最新の現代建築まで100プロジェクトを、総数400点を超える展示資料で紹介します。
《静岡県富士山世界遺産センター》
《古代出雲大社本殿》
1. 可能性としての木造
隈 研吾
《梼原・木橋ミュージアム》
2010年
高知
撮影:太田拓実
国土の70%が森林である日本が育んだ木の文化は、持続可能なシステムだと言えます。古代から木を活かす技術が発達し、大工棟梁に受け継がれてきた秘伝書や伝統建築にみられる木組は木の文化の証です。木造建築が見直されている今、日本の木造文化の技と思想、その未来の可能性について思考します。
北川原厚
《ミラノ国際博覧会2015日本館 木組インフィニティ》
2015年
イタリア
撮影:大野 繁
国土の70%が森林である日本が育んだ木の文化は、持続可能なシステムだと言えます。古代から木を活かす技術が発達し、大工棟梁に受け継がれてきた秘伝書や伝統建築にみられる木組は木の文化の証です。木造建築が見直されている今、日本の木造文化の技と思想、その未来の可能性について思考します。
2. 超越する美学
谷口吉生
《鈴木大拙館》
2011年
金沢
撮影:北嶋俊治
もののあはれ、無常、陰翳礼讃など、日本の美意識には超越的な姿勢があります。信じがたいほどの繊細さと大胆さが溶け合い、シンプルという言葉すら超えた表現は、木造にも打放しコンクリートにも通底する日本建築にも受け継がれる遺伝子のひとつです。
3. 安らかなる屋根
三分一博志
《直島ホール》
2015年
香川
撮影:小川重雄
日本建築は屋根である、と言われます。屋根は雨や雪を遮り、深い軒により日光を味方にします。人間を守る機能性とともに、その曲線美、水平美は風景のなかで象徴性をたたえ、安心感を与えます。伝統的な日本建築の屋根が近現代の建築家にいかなるインスピレーションを与えてきたかを考察します。
4. 建築としての工芸
吉田五十八
《ロイヤルホテル メインラウンジ》
1973年
大阪
画像提供:株式会社竹中工務店
建築は工芸の集積である――明治期に建築という概念が西洋から持ち込まれる以前の日本には、自然を抽象化する意匠のセンスと、高度な匠の技を駆使し、「部分」の集積が「全体」すなわち建築物をなす、成熟したものつくりがありました。このような工芸性は、遺伝子として近現代の建築にも脈々と流れています。
5. 連なる空間
丹下都市建築設計
《香川県庁舎》
1959年
香川
撮影:市川靖史
画像提供:香川県
20世紀に入り、日本建築が世界に伝えたのは、建築は必ずしも内外を壁で仕切らなくても成り立つこと、部屋の機能は固定されなくてもよいこと、豪華な装飾ではなく素材そのものの表現によって品位が保てることでした。実用性が見た目の美しさにもつながる、開かれた空間の理想像は今も日本建築に生き続けています。
6. 開かれた折衷
小林清親
《海運橋 第一銀行雪中》
平成の新版
大判錦絵
所蔵:清水建設
日本の伝統建築は、6世紀、仏教とともに伝来した技術や意匠に始まり、さまざまな文化の融合や変容を経て「日本らしさ」が形作られました。ここでは、明治期に大工棟梁が手掛けた擬洋風建築や、世界的な視座で日本建築を模索した伊東忠太の挑戦を紹介します。世界はそもそも折衷である、という日本の視点は、多文化主義の現代、未来に開かれた遺伝子だと言えるでしょう。
7. 集まって生きる形
猪熊 純、成瀬友梨
《LT城西》
2013年
名古屋
撮影:西川公朗
日本における「公共」には、長屋、寺子屋など縁がつなぐ空間の伝統があります。ここでは、伝統的集落を実測した調査や雪害に苦しむ農村問題など、建築が社会に向き合った例を紹介します。現代社会における新たなコミュニティ形成の方法として、自然の恵みと災害に囲まれた日本の「集まって生きる形」への注目は高まっています。
8. 発見された日本
フランク・ロイド・ライト
《帝国ホテル(正面中央部入口)》
1923年
東京
画像提供:帝国ホテル
© 鎹八咫烏
「伝統」は見出されるものだとしたら、国外から発見された日本建築も、いま、あらためて考察すべき知の資産です。来日したフランク・ロイド・ライトやアントニン・レーモンドから、現在第一線で活躍する建築家まで、国外の建築家が創造的に捉えた日本像を紹介します。また、海外に建設され、国際的な評価を得た日本の建築も参照します。
9. 共生する自然
安藤忠雄
《水の教会(星野リゾート トマム)》
1988年
北海道
画像提供:星野リゾート トマム
日本人は自然に畏怖の念を抱き、崇高なものとして信仰の対象としてきました。そうした自然観はどのように日本の建築に反映されてきたのでしょうか。建築を自然の一部と捉え、自然を素材のひとつとして建築をつくる。自然との境界をデザインする。建築に見る日本の自然観は未来へと紡がれます。
100プロジェクト、展示総数400点を超える圧巻のスケール
千利休作の茶室、国宝《待庵》を原寸で再現
伝千利休
《待庵》
安土桃山時代(16世紀)/2018年(原寸再現)
制作:ものつくり大学
※参考図版
千利休の作と伝えられ、現存する茶室建築としては日本最古の国宝《待庵》(京都府・妙喜庵)は、「わび」の思想を空間化したもので、日本文化を語る上で欠くことのできない建築の一つです。本展では、原寸スケールで再現し、二畳の茶席やにじり口(出入口)でよく知られる極小空間を体感していただけます。
丹下健三の自邸を1/3スケールで再現した巨大模型
丹下健三
《住居(丹下健三自邸)》
1953年
東京、現存せず
撮影:丹下健三
広島平和記念公園(1954年)、東京オリンピック(1964年)、大阪万博(1970年)など、戦後の国家的プロジェクトを牽引した建築家・丹下健三。「美しいもののみ機能的である」と唱えた丹下が、桂離宮など日本の古建築を再解釈し、建築の新たな創造の可能性を拓いた《自邸》(現存せず)を巨大模型で再現します。また、当時の様子が伺える写真をARで鑑賞することができます。
ライゾマティクス・アーキテクチャーが最新技術で再現する日本建築のスケールを3Dで体感
齋藤精一+ライゾマティクス・アーキテクチャー
《パワー・オブ・スケール》
2018年
インスタレーション
※参考図版
ライゾマティクスを率いる世界が注目するクリエイティブ・アーティスト齋藤精一は、コロンビア大学建築学科で学び、建築で培ったロジカルな思考と知見をもとに創作するメディアアートで知られています。本展では、最新技術のレーザーファイバーと映像を駆使し、日本建築の空間概念を大小さまざまなスケールで原寸再現し、そのダイナミズムを3Dで体感する体験型インスタレーションの新作を発表します。
日本建築史における学術的にも貴重な資料を展示
シャルロット・ペリアン
《折りたたみ式寝台とクッション》
1941年
所蔵:山形県立博物館
大工棟梁に代々受け継がれ、江戸時代に広く普及した秘伝書、明治初期に制作された擬洋風建築の模型、大正~昭和初期に日本の古建築研究のために制作された学術模型、明治後期にドイツで発刊されモダニズム建築の発展に広く貢献したフランク・ロイド・ライトの作品集、戦前にシャルロット・ペリアンが東北の農民の生活改善のために、藁でデザインした寝椅子など、建築史を複層的に考察できる資料を一挙公開します。
モダニズムの名作家具で構成されたブックラウンジ
丹下健三研究室
《香川県庁舎間仕切り棚》
1955-58年 ほか
※参考図版
剣持勇や長大作など戦後のモダニズム建築を彩ってきたデザイナーによる名作家具は、美術館に収蔵されているものも多く、通常、展覧会で展示されても手に触れることはできません。本展では、今なお現役で使用されているこれらのオリジナルの家具を集め、実際に座ることができるラウンジを展示室内に設えます。展覧会をより深く知ることができる書籍を閲覧しながらお過ごしいただけます。
国際的に活躍する日本人建築家の最新のプロジェクトを紹介
杉本博司
《光学硝子舞台(小田原文化財団 江之浦測候所)》
2017年
神奈川
© 小田原文化財団
伊東豊雄の《台中国立歌劇院》(2016年)、SANAAの《荘銀タクト鶴岡》(2017年)、坂茂の《静岡県富士山世界遺産センター》(2017年)、杉本博司の《江之浦測侯所》(2017年)など近年竣工したプロジェクトに加え、石上純也の《House & Restaurant》や、岡啓輔の《蟻鱒鳶ル(ありますとんびる)》など現在進行中のプロジェクトを紹介。さらにはティンバライズの木造超高層の計画案など未来の建築をも考察します。
さまざまな鑑賞者に配慮した展示デザインで鑑賞方法を自由に選択
新たな試みとして、森美術館と若手建築家の川勝真一、工藤桃子、元木大輔、グラフィックデザイナーの橋詰宗と飯田将平との協働により、従来とは異なる、鑑賞者の建築への興味や関心、知識や専門性の度合いに配慮した画期的な展示デザインを実現。展示室の5.5メートルの壁を3段階のエリアに分割し、高さ3メートル以上の上部(遠景エリア)に大型の映像、写真、言葉など専門知識がなくても楽しめる概要を、高さ1~3メートルの中部(中景エリア)に展示の核となる資料を、高さ1メートル以下の下部(近景エリア)は解説等の詳細情報を掲出しています。鑑賞者は自分の興味や関心にあわせて、情報を自由に選択し、鑑賞することができます。
ディスカッション・シリーズ
イメージ(2017年9月開催のトークセッションの様子)
三徳山三佛寺投入堂
桂離宮
田貫湖からの富士山
六本木ヒルズ・森美術館15周年記念展
建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの
主催
森美術館
後援
一般社団法人日本建築学会
公益社団法人日本建築家協会
アルカジア東京大会2018
一般社団法人日本建築構造技術者協会
一般社団法人日本デザイン学会
西伊豆からの富士山の眺めは日本一である(松崎町より)
白糸の滝と富士山
紅富士
富士山本宮浅間大社と富士山
春爛漫の富士山
秋桜と富士山
富士登山曼荼羅
鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」の明和町観光大使
協力(敬称略・順不同)
富士山本宮浅間大社 〒418-0067 静岡県富士宮市宮町1-1 TEL 0544-27-2002
三徳山三佛寺投入堂 〒682-0132 鳥取県東伯郡三朝町三徳1010
電話: 0858-43-2666
森美術館
〒106-6108 東京都港区六本木6-10-1
六本木ヒルズ森タワー52階、53階 Tel:03-5777-8600
0コメント